第四話
リリアの荷物を部屋へ運び込んで、忙しそうにキースと騎士達が別荘から去っていった。
残されたリリアはマリーに案内されて準備された自分の部屋に入るが、王都のデルヴィーニュ家の屋敷の自分の部屋の半分ほどしかなく、しつらえも質素で思わずため息が出てしまった。そんなリリアを見たマリーは優しく問いかけた。
「リリア様、長旅お疲れだったでしょう。お茶になさいますか?」
優しい問いかけにも沈んだ心は浮かぶことが無かった。
締め付ける外出着からリラックスできる服に着替えたくてしょうがなかったリリアはお茶より先に服を着替えたかった。
「室内着に着替えたいわ」
着替えることしか頭にないリリアはマリーにそう命じたのだった。しかし、マリーは困った顔をして、リリアを見た。
「申し訳ありません。荷物を片付けてからになりますので、少々ソファにお座りいただいてお待ちください」
イライラが募ってきたのか、リリアは眉を吊り上がらせる。
「待てないわ!!私、疲れているの早く着替えたいわ!!」
イライラするリリアにマリーは困ったように返事した。
「リリア様のお洋服を存じ上げないので、鞄から直接お召しになりたい洋服を選んでいただけますか?」
マリーは王都から運ばれたリリアの荷物の入った十個の大きな鞄を示すのだった。
「私が荷造りしたわけじゃあないから、中身がわからないわ」
イライラして泣きそうな顔のリリアにマリーはそっと問いかけた。
「じゃあ、一緒に一つずつ鞄を開けながら中身を確認しましょうか?」
「……ええ、お願いするわ」
二人は一つずつ鞄を開けながら、リリアが中身を確認したものをマリーがクローゼットに片付けていくのだった。そうして、鞄を開けている途中でリリアの着たいシンプルだけど仕立てがいいとわかるピンク色のドレスが出てきたので、リリアはそれをマリーに手伝ってもらって着替えたのだった。
リリアの着替えが終わり、鞄の中身もすべて片付け終わり、マリーはお茶の用意をすると言って部屋を出ていった。
部屋に一人残されたリリアはソファに座り、ため息をつく。一人いろいろと考えているようだった。
――私、ゲームのヒロインなのに、こんな所にずっといるなんて嫌だわ。何もなさすぎるわ。ライオネル様は無理でも他の攻略対象者に接触できないものかしら……フロナディア王国の西の端の過ぎて王都に戻るにしても一週間かかるなんて……何で、こんなところに来ちゃったのかしら?そう、ライオネル様に会うためだった……攻略できると思ったのにもう!!しかも、ライオネル様、意識がないって言うし、大丈夫かしら?キースには害になるって言われるし……ムカつく!!!!
リリアは気持ちに任せて、ソファに置かれているクッションを壁に向かって投げつけるのだった。




