ミッカメ
翌日。朝のHRにて。
影山先生が深刻そうな顔をして入ってきた。
「えー、みんなに残念なお知らせがある
となりのクラスの担任の黒田先生だが今日から長期休暇を取ることになった。以上だ。今日も文化祭に向けて作業を続けてくれ。」
黒田先生というのはとなりのクラスの社会科のお爺ちゃん先生だ。とても、厳しいと評判。
「先生!」
柳澤くんがいった。
「先生、それって、昨日のチラシに落書きをした犯人ですか?」
教室がざわつく。
「君たちには関係のないことだ」
「じゃ、誰がチラシに落書きをしたんでしょうね?」
明島くんが影山先生に聞いた。
しばらく、影山先生は明島くんの目を見つめ
「知らないなぁ」
と答えて教室を出た。
明島くんは睨みかえすような目付きをしていた。
これでは、文化祭の準備どころじゃない。
「ね、あの、黒田が」
「最低だよね」
「そーいえば、この前の授業でうちのことにらんでたわー」
「うわー、犯人確定かな!」
そんなひそひそ話を女子たちがしていた。
「ねぇ、みんな!」
私は声をあげた。
「もっとさ、集中しようよ
一年に一回しかない文化祭だよ?
もっとさ、楽しもうよ
もしかしたらさ、この学校に幽霊とかがいてさ、チラシの落書きはさそいつがやったのかもしれないじゃん?
そう考えたらワクワクしない?」
「なわけねーだろ。」
「そーだ、ふざけんな」
男子がやじをとばした。
「もしかして犯人お前かー」
この言葉が出た瞬間教室がシーンとした。
「この裏切り者」
柳澤くんが私に向かってそういった。
「まてよ。」
明島くんが言った。
「お前ら知らないのか。この学校もともと空襲で燃え上がったあとにできたところに作ったんだぜ。もしかしたら、未だにここを日本兵の霊がうろついててもおかしくないだろ」
明島くんが、カバーしてくれた。
しかし、私はこれ以降ハブられるようになった。
そんなこんなで今日は作業が進まなかった。
放課後。
私は旧パソコン室へむかった。
そこには、私の幼馴染みである輝間くんがいる。
輝間くんは私と違って超天才なの。
放課後はいつもこの旧パソコン室で一人で遊んでるみたい。
「なんだ、ヒカリ」
「あのさぁ」
「黒田のことか?」
「え?なんでわかったの?」
「…さぁな」
「どう思う?」
「明島の話を聞いて俺は自分の持論を確信した」
「ん?ちょっと待って?持論?」
「重世界論」
「ん??」
「この世にあるオカルト現象を説明するためのおれの持論だ」
「ほう…」
「重世界論ってのはな…」
「あーー、いいよいいよ。輝間くんに聞きにきた私がバカでした
べーっだ。帰るね。さよなら。」
「ヒカリ!」
「んん?」
「気を付けて帰れよ」
「ありがと」
今日はこれで終わった。