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事の始まり

 あなたは学校が楽しいと感じたことがあるだろうか。大半の人はあると答えるだろう。もちろん僕もそうだった。小学校の頃は何も悩みもない、勉強もそんなに頑張らなくても成績は普通の方だった。放課後、駅前の広場にみんな集まって遊ぶと言うのが続くと思っていた。しかし中学校に上がってからはそうはいかなかった。中間テストや受験、執拗なまでに意識される様になった上下関係…僕は中学校の頃陸上部に入っていた。が、あまりにも成績が悪すぎた為に僕は顧問にクビにされてしまった。小学校の頃に勉強するという意識もなかったまま中学校にあがったため、もちろん勉強はしなかったし成績も目茶苦茶だった。今思えば小学校の頃に実施された「ゆとり教育」のせいとも言えそうだが…しかし別にどうでもよかった。学校の部活は真面目過ぎるし先輩や顧問もやたら偉そうにしてて腹が立つ。いても少しも面白くない。クビにされなくても自分から辞めてただろう。捻くれてると思われそうだが仕方がない。本当にそういう風に感じるんだから。そして日常はいつも学校が終わ

り帰って来てからケータイやパソコンでゲームをしたりテレビを見たりしながら過ごしているとあっと言う間に過ぎてしまう。小学校の頃よく遊んだ友人とも遊ばなくなった。というのもみんな部活だったり勉強だったりで忙しく、集まって外で遊ぶって事がなくなってしまったからだ。僕は学校生活以外の時間は独りだった。しかし遊んでばかりいただけでもなかった。僕は小一の頃に空手と柔道を習い始め、両方とも黒帯を取った。しかし柔道は小学校卒業と共に、空手は高校に入ってから行かなくなった。高校には、行くつもりはなかったのだが、父親に行くように言われた為しぶしぶ行くことになった。三年時には一応塾にも通いそこそこのレベルの高校には行った。ちなみに僕は父親には逆らうことが出来ないのだ。その理由はまた後で述べよう。そして高校に入ってからは更に堕落したような生活になっている。友人と言えるような奴はほとんどいない。というか学校で少し話すくらいの奴ばかりと言った方がいいだろう。が、一人だけ気の会う佐伯という奴がいる。ある梅雨のジメジ

メした季節にそいつと一緒に帰っていた時だった…

 「あーあ、もうやってらんねえよ。あんな暇人相手によ。だいたい、煙草の一つや二つでうっさいんだよ」帰り道、佐伯はずっとこんな感じだ。そんな佐伯に僕は言った。「でもさ、煙草を持ってきたのはお前じゃないんだろ?」「当たり前だろ。わざわざ学校で吸う程馬鹿じゃないし、第一、机の中なんかに入れない。あーあ、また明日も放課後遅く残されると思うと怠いなぁ…」


 今朝の事だ。学校で佐伯の机の中に煙草が入っているのを担任の有森先生が見つけたらしい。佐伯は一年の頃から問題児と見られていて、一度器物破損で停学処分を受けたこともある。恐らく誰かがこっそりいれたのだろうが、本当は持ってきてないと信じてはもらえない。結局放課後二時間も残され、明日もう一度話をするらしい。


 「日頃の態度が悪いのは認めるけど、そう簡単に決め付けられっと頭に来るんだよな」佐伯は帰り道ずっと愚痴を零していた。こいつは気にいらない事があればそれについての愚痴が止まらなくなる。

佐伯と別れ、家に帰っても誰もいなかった。弟の圭は多分塾だろう。親父は…今日も出張かなんかで遅くなるか帰らないかだろう。仕方ないから僕はパソコンの電源をつけ、家にあったカップラーメンを食べた後、すぐに床についた。


 翌朝、ホームルームの時間前に僕が佐伯と学級委員の赤上達と話している時、有森先生が血相を変え教室に入ると「佐伯!ちょっと廊下へ出ろ!」と怒鳴る。佐伯は訳が分からないと言った表情で出ていった。僕たちは壁際で話を聞いていた。どうも朝有森先生の靴の中に画鋲が入っていたらしい。その犯人が昨日叱られた事に頭に来た佐伯の仕業だと言う。完全に有森先生は佐伯がやったと思い込んでいる。結局その日は有森先生も佐伯も教室に戻ってこなかった。放課後、何処にいるのか探してみたが見つからなかった。その夜佐伯に電話してどうなったかを聞いて見た。どうやらあの後親を呼び出され、無実の罪を散々着せられた上に一週間の停学処分を喰らったらしい。停学と聞いた時、佐伯は有森先生につかみ掛かったらしいが、殴る前に佐伯の親と回りにいた先生に止められ、なんとかその場を治めたと言う。親からもこっぴどく叱られたみたいでかなり腹を立てていた。「ちくしょう、犯人は誰なんだ!一体俺に何の恨みがあるってんだ!」僕は佐伯をなだめながらもそんなくだら

ない事をした犯人に腹を立てていた。「とにかくお前が処分喰らってる間は僕が連絡事項伝えるよ」「あぁ、頼むよ神谷」そういって電話を切った。

 この一週間は特に学校がつまらなく感じた。佐伯はすぐに暴力に走る奴だが、話が通じる奴だからだ。


 一週間後、やっと佐伯の停学処分が終わり、今日登校してくるはずだ。朝赤上達と話している時に僕はその事を言った。「あぁ、やっと今日で一週間か」と遠藤が言う。「でも先生も大袈裟だよな。一週間停学はやり過ぎじゃん?」と渡部も言う。「ほんと」赤上が口を開く。「ちょっと机に煙草いれたり、靴に画鋲入れただけであの馬鹿騒ぎ。全く低レベルだよ」「えっ?」今の赤上の言葉の意味がよくわからなかった。赤上が続ける。「だからさ、あれは俺がやったんだ。煙草も画鋲も。なんかさ、佐伯って嫌な奴じゃん?キレやすいし自己中だし」「あぁ、わかるかも」「確かにねー」遠藤と渡部が同意するが、僕は腹が煮え繰り返る程の怒りを感じていた。一体、何を考えてるんだこいつ。赤上が更に続けて言う。「でもさすがに一週間停学とは思わなかったよ。まぁ、あの馬鹿な教師とあいつを一片に罰を与えられたんだし、よしとするかな」その言葉に僕以外の二人は笑うが、僕は黙っていた。罵る言葉も思い付かないとはまさにこの事だった。その時、教室の扉が勢いよく開かれた

。入ってきたのは眉間にしわを限界まで寄せた佐伯だった。赤上が後ろを振り返ると、佐伯と目があった。「あ…」赤上がやっと話を聞かれていたことに気付いた。


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