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どう打つの?森  作者: 工場長
東一局・麻雀部創めました
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第二十四話 みんな必要な仲間だからね(二)

 暗闇の中、和平たちの勝負が始まる。

「ここは戦国時代のとある村……、この村は崩壊の危機に曝されていた」


 ナレーター・三石杏子みついし きょうこ


 杏子の最初の台詞が終わると、舞台中央のスクリーン画面に映像が流れる。スイッチを押したのは


 音響&映像・黄忠純きただ じゅん


 流れる映像は八日前に和平たちが麻雀部部室で撮ったものだ。

 画面の中にいる和平は舞台袖にいたのと同じ格好をしている。

 その和平が「発」をポンした瞬間。舞台が明るくなった。

 画面の前にいるのは


 悪のボス「発」・森和平もり なごひら


 和平は黒コート思いっきり広げている。

 広げられたコートの両側と、Tシャツに書かれている「発」を合わせると「発」が三枚あることになる。

「ふふっ、俺様が三っつそろえれば百人力よ、この村をめちゃくちゃにして村人を蝋人形にしてやる」

 と、いかにも悪ぶった声を上げると画面から

「ひえーっ勘弁してくださーい」

 村人A・Bの怯える声。


「そうはさせないわ!」

「むっ、誰だっ!」

 観客より見て舞台右端から現れたのは、青いチャイナドレス姿の


 正義の味方麻雀プリティ・清水一香しみず いちか


 少し足を引きずっているように見えるが、これは怪我ではなく観客へのネタバレを防ぐためである。

 そして画面の中にも一香が現れる。もちろん、舞台と同じ姿だ。

「ふっふはははっ、誰かと思ったら麻雀プリティか……」

「貴様の野望、この麻雀プリティが蹴ってやる!」

 和平の笑いに一香は両腕を大きく回して勢いよく和平を指差す。

「ふっ、そんなこと言ってられるのも今のうちよ!」

「何ですって!?」


 一香の言葉を合図に止まっていた映像が動きだし

「ポン!」

 画面の和平が「中」を鳴く。

「お呼びですか、ボス」

 左側より現れたのは


 村人B&悪の部下「中」・一関通子いちのせき とおこ


「あっはっは、私が現れたからにはボスは簡単には倒させないぞー」

「くっ!」

「まあそう悔しがるな、麻雀プリティよ、貴様等にはもっと地獄を見せてやろう」


 また映像が動きだし、村人Aが切った「白」を和平が

「ポン!!」


 村人A&悪の部下「白」・九断正二くだん しょうじ


「はっはっは、俺ら三人が揃ったら大変なことになるぞー」

「そうなのです、『発』『中』『白』の三つが三枚揃った時、『大三元』という悪の魔法が唱えられるのです」

 パオの解説はここではしない。

「『大三元』発動の前にこの三人を倒さなければ村は大変なことに!」

「そうだ、村人全員蝋人形にしてやる!」

 舞台袖の杏子はマイクから顔を背け小声で

「森君。蝋人形好きだなー」

「でも……蝋人形って地味に怖いからいいんじゃないですか?」

 杏子の突っ込みに純がフォローする。


「くっ、こうなったら仕方がない!」

 舞台上で一香が叫ぶ。

「純ちゃん、再生開始とあのボタン押して」

「わ、分かりました。三石先輩」

 激しくきらめくような音と共に、一香は腰から下げていた剣を抜いた。

「リーチ!」

 画面の一香は叫んでリーチ棒を置く。

 その姿は舞台と同じ青いチャイナ服。

 舞台の一香が剣を和平に向けて叫ぶ。

「この正義の『リーチー剣』で貴様を倒してやる!」

 そう、一香が抜いたのは剣の部分が画面と同じ青いリーチ棒なのだ。

 登場時、これが観客に見えたらネタバレになるので、一香は足で隠すようにして歩いていたのである。


「で、出たーっ!麻雀プリティの必殺技『リーチー剣』だーっ!!」

「ほう……、この状況で『リーチー剣』を抜くか……貴様、逃げる気はもうないのだな」

「そうね、背水の陣……だけど私は退路を絶って必ずお前を倒す!」

 この辺りはさり気なく「リーチをかけたらもう後戻りはできないよ」という説明をしているつもりである。

「あっはっはっ、そんな脆い剣で私らが倒せるわけないだろう」

 通子が一香の前へと飛び出し、一香を殴る。

 一香も「リーチー剣」で受け止め、斬り掛かる。

 通子はそれを避けてまた殴る。

 このアクションシーンの間、効果音を出し続けているのはもちろん純。


「私はしばし休憩か……」

 と、杏子が椅子に腰を下ろすと

「そろそろあたしの出番かい」

 舞台袖の奥から杏子へ話し掛ける声が

「そうですね。この後正二君も攻撃してからなので、今のうち準備は大丈夫か確認してください。先生」

 背もたれに思いきり寄り掛かりながら杏子が直に笑顔を見せる。

「まったく人手不足だからって顧問のあたしも使うかい……」

 そう言う直が着ているTシャツには何かが書かれている。

「ま、まあそうおっしゃっても楽しそうですよ、立花先生」

 純がボタンを押しながら直に声をかける。

「黄忠も楽しそうじゃん」

 もちろん、と直に頷く純。


「そらっ、どうした?俺の『白』攻撃が怖いかっ!?」

「まだ……、今は我慢の時……!」

 果たして麻雀プリティは勝てるのか? 直に与えられた役は? 村の運命やいかに!?

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