第二十話 リアルを求めすぎるとよくこうなるよね
初めてネットワーク対戦麻雀に挑む和平!!
敵は三人とも史上最恐クラス!!
和平はあろうことか絶好の三面張リーチに間違って隣の牌を切る!!
和平の運命やいかに!!
「リーチ!」
下家の「星倫」が「七」でリーチをかける。
「リーチかけられちゃったじゃないですか、先輩!」
「だっ、大丈夫だ通子、純ちゃん。これで『九』を持ってきたら『七』切りリーチができるってことが証明されたんだ」
さすがに強がりが過ぎるか、と心の内で焦る和平。
他の二人は現物を切って和平のツモ番。来た牌は「5」。
(い、一発でツモってたー!)
「……ツモれていましたね」
和平が(そして通子も絶対)上げていた無言の叫びを純が代弁する。
「一応『リーチ』の赤丸出てますけど『七』切りますか?森先輩」
「いやいやいくらなんでも『九』の単騎待ちは…」
と、和平はパスを選択……。
「リーチ!」
(ま、また間違って押しちゃったー!!)
「さ、さすがにこれリーチかけないとマズくない?」
「そ、そうですね……、これも間違えましたじゃ初心者以下ですものね」
打っているのは和平でも登録しているのは自分なので通子にとってはこんな汚名は着たくない。
「リ、リーチかかっている人もいますし、その方『九』ツモっても切らざるを得ないと思えば……」
「ポ、ポジティブだね純ちゃん。『九』で『星倫』が和了らないことを祈ろうか」
今度こそ誤った操作をするわけにはいかない、と和平はゆっくりと「七」を押す。
無事に「七」が横に曲がって河に置かれる。
リーチ後の処理は和了りではない限り自動なので、すぐさま「星倫」から「九」が出る。
(本当に『九』出てるー!)
「ロンですよ、森先輩!」
「押すのは『パス』じゃないですからね、先輩!」
(すっかり信用無くしたなぁ……)
悲しい気持ちでゆっくりと「ロン」を押す和平。
下九ロン→ 34赤5567(5)(6)(7)二三四九 九ロン
裏ドラ九
リーチ一発赤ドラ1裏ドラ2 8000点
「あ、和了れちゃったよ……」
何度もミスしたにも関わらず、和了れた上に裏ドラ二枚乗りの結果に和平は力の無い声を上げる。
「操作に慣れなくても麻雀の調子は絶好調ってことじゃないですか?森先輩」
「そうですよ、このまま他の二人からも和了ってしまいましょう!」
(麻雀では失敗していないから先輩としての面子はギリギリ保たれているかな?)
安堵のため息をつきながら和平は画面に表示された「次へ進む」ボタンを押す。
東二局終了時の点数
1着 和平・36000
2着 のろまベルト・24500
3着 茶チル・24500
(同点だが、席順が起親に近いのろまベルトが二着)
4着 星倫・15000
東三局・ドラ6・親「茶チル」
「リーチ!」
「えっ、親がリーチ!?」
通子が驚きの声を上げながら画面を見る。
「『茶チル』さんも間違いをしたのでしょうか? 森先輩」
純は首を傾げながら和平を見る。
「いやいや、俺じゃあるまいし……、というか俺はもう間違えないし……」
操作間違いではなく、確かに一番最初に河に置かれた牌「北」が横を向いていた。
すなわち親の「茶チル」、ダブルリーチ。
「こういう時は下手に考えないほうがいいよね」
と、和平が(8)を切る。茶チルの反応は無し。
「ほっ……」
「よかったですね、森先輩」
「これでロンされたらたまったものじゃないですよ」
しかし下家のツキはとことんなかった。
なぜならば「星倫」の「西」に「茶チル」がロン。と牌を倒したからだ。
対西ロン→ 一二三五五七八九東東東西西 ロン西
裏ドラ(3)
ダブルリーチ一発混一色ダブ東 24000点
「……つ、通子さん? これは途中で誰かがトンだら……」
「終了です」
「俺はまだ諦めていないけど……?」
「トンだらそこで対局終了です」
最終順位
1着 茶チル・48500
2着 和平・36000
3着 のろまベルト・24500
4着 星倫・-9000(トビ)
「下家がトンでしまったために浮きの二着で終了か……」
最低ラインは突破できたとはいえトップを取れなかった悔しさは残る。
「二回連続続けて和了れたのでこのままいけるかと思ったんですけどね……、でも森先輩はあの『史上最恐クラス』三人相手に二着はすごいですよ」
純が慰めの言葉をかける。
(勝手にあのメンバーの叩きあいに終わっただけのような……、『のろまベルト』は座っていただけだし)
なんとなく「ラッキーな二着」のようで少し腑に落ちない和平。
通子も同様だったようで
「調子いいな、って思ったら相手にすごく大きい手が入って負ける。なんだかゲームの脱衣麻雀のようででした」
と、とんでもない例えをする。
「え、通子は……、脱衣麻雀をゲームでしたことがあるの?」
「そうなの? 通子ちゃん」
和平はもちろん、純も初耳だったようだ。
二人の好奇な視線を感じた通子は顔を少し赤くして
「お、お父さんが『これは大人の麻雀だ』と言って隠していたのを夜中にこっそりちょっと……」
「それがまさか通子の……」
「『初めての麻雀』ではありません!!」
「まだ、『初めての』とは森先輩は聞いていないけど、通子ちゃん」
「ぐっ……」
純の指摘に通子の顔に赤味が増す。
「初めてが『脱ぐの』だったら大変だよな、通子」
図星だと思った和平がさらに追い討ちをかけると
「誤解を与える表現はやめてください、先輩!!」
と、更に顔を真っ赤にさせる通子であった。




