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最終話「天照らす笑顔」

 黄金色の雲の上、八百万の神々が住まう世界、高天原。


 その雲の上に降り立ちますは、一柱の大天使――

 そう、ウリエル様です。


 しかし、今日はホスト達と夢の時間を過ごしに来たわけではないようで、

 ウリエル様は、真っ直ぐと大社を見つめ、

 中へと躊躇なく入っていきます。


 目指す先はただ一つ、

 いつもアマテラス様がパツ金ホストを侍らせる私室、VIPルーム。


 純和風の建物内において、異彩を放つネオンが輝く扉、

 ウリエル様は軽くノックしますが、応答はありません。



「アマテラス」



 一拍。


 しかし、やはり沈黙が続きます。



「入るぞ」



 ウリエル様はそう言って扉を開けますが――


「アマテラ――」



 ……



 そこにはアマテラス様はおろか、ホストすら居らず、

 代わりに、テーブルの上に一枚の便箋が置いてあります。



「……相変わらず足の速い地獄耳だ」



 苦笑いを浮かべ、ボヤきつつも便箋を手にします。



「……ふっ」


『ホストと遊んでろ』


「どうやら、相当腹を立てているようだ」


 通常、神が、それも位の高い神が、ヒトのために動くということはしません。

 それは世の均衡を保つ、神界の暗黙のルールと言っていいでしょう。


 けれど、アマテラス様は今、最高神の立場でありながら、

 それを自ら破ろうとしております。


 まるで『全ての責任は自分にある』と、周りを庇っているかのようです。



 ……



「お前一人を悪者にはさせられんな」


 ウリエル様はそう呟くと、日が傾く下界へ降りて行きました。



 ――――



 7畳の部屋では、夕食の準備が進行しています。


 ガラステーブルの中央にはカセットコンロと土鍋。

 鍋の中はネギ、しらたき、しいたけ。


 そう――これは……


「すき焼き、すき焼きー!」


 トリエルが目を宝石のように輝かせ、

 待ちきれないと言わんばかりにお椀を叩きます。


 直接ものは食べないおばけ達も、

 勝手にお椀を取り出してトリエルのマネをします。


 それはまるで、太鼓叩きながら進むパレードのよう。


「でしゅでしゅー!」


 サタンちゃんも尻尾をふりふりで応え、

 部屋には自然と笑顔が溢れます。


「ピピママー! 早く食べたいでしゅー!」


 サタンちゃんはもう待ちきれないと、ふりふりだった尻尾は、

 ビュンビュンとムチのように空を切りながら揺れています。


「あ痛て!」


 そしてたまにあゆむに当たります。


「女王様とお呼びー!」「お呼びー!」「びー!」


 そしてアンポンタンのナス共が、それに便乗します。


「待てないでしゅー! ピピママー!」


「はいはい、それじゃあ、お肉を入れていきましょうか」


 野菜に火が通り、出汁が浸透した割り下に肉が投入されます。


「……まったく、はしたないですね……」


「肉をガン見して言っても説得力ないぞ、ミカエルさん」


「肉は妾が食べるでしゅ! ミカエリュはピーマン食べるでしゅ!」


「すき焼きには入ってねえんだわ」


 やがて、すき焼きの湯気がもうもうと立ち上り、

 割り下の甘い香りが7畳の部屋を包みます。


「いただきまーしゅ!」

「いただきまーす!」


 サタンちゃんとトリエルの声が重なり、

 二人同時に肉へ箸を伸ばします。


「それは妾のでしゅ!」

「トリエルが先に見つけたー!」

「二人とも、お肉はまだたくさんありますよ」


 ピピが追加の肉を鍋に投入すると、

 じゅわ……と脂が割り下に溶けて、香ばしい音が広がります。


 おばけ達も唾を飲む仕草をしながら、香りを食べていますね。


「卵は付けますか?」


 バアルゼブルが人数分の生卵を小鉢に割り入れながら、

 手慣れた所作で配膳していきます。


「バアル、卵いつもきれいに割るな」

「悪魔の嗜みです」


(どんな悪魔じゃい)


 バアルゼブルはにこやかに返し、

 その表情にかつてのベルゼブブはどこにもありません。


「ガブリエル、私にもお肉と、あと豆腐をください」

「はい、ミカエル」


 ガブリエルママが、メガネを曇らせながら肉と豆腐を渡し、

 ミカエルさんがお椀で受け取ります。

 クールぶってはいますが、卵に肉を浸す手つきが、

 微かに震えるほど楽しみにしていることは明白です。


「歩さん」

「ん?」

「……美味しいですね」

「そうだな」


 ミカエルさんがぼそりと呟き、あゆむが短く返す。

 それだけのことですが、ピピはその光景を見て、目を細めます。


 ……


(やっぱり、すき焼きは家族の食事ですね)


 あゆむがトリエル達と出会って以来、

 すき焼きは、どんな時も7畳の部屋の住人達を繋ぐ食事でした。

 ピピは、これまでのことを思い起こしながら、

 自然と笑みを浮かべます。


「ピピママ、おかわりでしゅ!」


 サタンちゃんが空になったお椀を差し出すと、

 ピピは「よく食べますね」と笑いながら、ネギと肉をよそってあげます。


「妾は明日もようちえんがあるから、たくさん食べるでしゅ!」

「そうですね。たくさん食べて、たくさん遊んでくださいね」

「ふじこと、かくれんぼするでしゅ!」

「今度は勝てるといいですね」

「勝つでしゅ! 今度こそ尻尾を抑えるでしゅ!」


 サタンちゃんがそう宣言すると、尻尾が勝手にブンッと揺れます。


「……まったく言うこと聞かない尻尾でしゅ」


 サタンちゃんが尻尾を睨み、

 部屋に笑い声が広がります。


「ガブリエルママー、お肉もう無いよー!」

「買ってきまーす!」

「俺まだほとんど食っとらんぞ……」

「早い者勝ちでしゅ!」


 …………


 やがて、追加の食材も空になり、

 トリエルが「おなかいっぱーい」とお腹をさすりながらソファに転がり、

 サタンちゃんはピピの膝の上でうとうとし始めます。


「眠い……でしゅ……」


 あっという間に寝落ちです。

 尻尾だけがピピの腕に巻きついたまま、微かに揺れています。


 あゆむは食後のコーヒーを飲みながら、

 ふと天井を見上げます。

 そこにあるのは、10cmの小さな染み。

 

 消えてもいなければ、広がってもいない、かの邪神の痕跡です。


(お前は何を待っている……?)


 あゆむの問いに、染みは何も答えません。

 ピピもサタンちゃんの髪を撫でながら、同じ場所を見ていました。


(明日も、明後日も、サタンちゃんを幼稚園に送りたい)


 ピピはサタンちゃんの額にそっと唇を寄せます。


「おやすみなさい、サタンちゃん」


 サタンちゃんの尻尾が、ぴくんと跳ね、

 トリエルが寝ぼけておばけを放り投げ、

 夜は更けていきます。



 ――――



 翌朝、ピピはいつも通り、サタンちゃんのツインテールを結い、

 リボンを締め、にこりと微笑みます。


「いってきまーしゅ!」

「いってら」


 あゆむが手を振り、サタンちゃんとピピが玄関を出ます。


 6月の朝。

 空は快晴、雲一つありません。

 商店街を抜け、幼稚園の門が見えた時、

 サタンちゃんがピピの手を引っ張ります。


「ピピママ」

「はい?」


「……今日も迎えに来るでしゅ?」

「もちろんです」


 サタンちゃんが小指を出します。

 ピピの冷たい指が絡みます。


「約束でしゅ」

「はい。約束です」


 二人の指が離れ、サタンちゃんは園庭に駆け出します。


「魔王! おっすー!」


 たけしくんの声が聞こえ、

 サタンちゃんが「でしゅ!」と手を振ります。


 ピピは門の外から見守り、微笑みます。


 変わらない朝。


 変わらない日常。


 ピピが背を向けた――その時でした。



 突然、空が陰りました。


 ピピが振り返ると、

 さっきまで雲一つなかった空に、

 太陽を覆い隠すほどの黒い影が広がっています。


 ですが……それは雲ではありません。


(瘴気……!!)


 ピピの目が、大きく見開かれます。


 園庭の地面から、黒い靄が這い上がるように噴き出し始めます。


 園の周囲の風景が歪み、

 商店街が、住宅街が、道路が、

 まるで水面に映る景色のように揺らぎ――消えていきます。


 ソロモン幼稚園だけが、黒い空の下に取り残されました。

 園児達の悲鳴が響きます。


「くらーい!」

「こわいー!」

「せんせー!」


(瘴気だと!? ざけんなよ……!!)


 あすか先生が、園児達を教室に集めようと走りますが、

 園舎の壁にも瘴気が這い上がり、窓の外は何も映さない闇です。


「アスタロト!!」


 犬小屋から、グラちゃんこと、グラシャラボラスが飛び出し、

 あすか先生のもとへ駆け寄ります。

 あまりにも突然のことで、

 園児達はグラちゃんが喋ったことなど、まるで意識していません。


 しかし、瘴気の壁に阻まれ、あすか先生と合流できません。


「一体どういうことだ!?」


 ソロモン七十二柱の大悪魔も巻き込み、幼稚園は完全な闇に包まれました。


「サタンちゃん!!」


 ピピが門に駆け寄りますが、

 見えない壁に阻まれ、中に入れません。


(結界……!!)


 瘴気の結界が、幼稚園を異空間ごと閉じ込めています。

 ピピは拳を叩きつけますが、びくともしません。


「サタンちゃん!! サタンちゃん!!」


 園庭の奥では、サタンちゃんの尻尾がぴんと立っていました。


「サタンちゃん!!」


 結界はビクともしません。

 それでもピピは、何とか助け出そうと、

 懸命に結界を叩きます。


 ピピが藻掻けば藻掻くほど、まるで何かが嘲笑うかのように、

 結界は黒く不気味に光ります。


 ピピの手は、青く、滲んでいました。



 ――――



 一方、7畳の部屋では、天井の染みが急速に大きくなっていきます。


「あれは……!!」


 そしてそれは、あっという間に一つの……いえ、

 無数の大きな目を、赤い目を浮かび上がらせます。


「ニャルラトホテプ!!」


 あゆむが叫び、ガブリエルママが風を飛ばしますが、

 それはビクリともしません。


「くっ!?」


 ミカエルさんはトリエルを抱き抱えると、

 目から庇うように背を向けます。

 トリエルは目を閉じ、エミエルに変わると、

 悲しげな表情で天井の目を見つめます。


「……お願い……やめて」


 しばらくし、聞き覚えのある、甘く高い声が部屋に響き渡ります。


「やあ……久しぶり」


「何をする気だ!! ニャルラトホテプ!!」


「別に僕は何もしないよ。

 そうだろう? いつだって僕は何もしない。

 今回もそうだ。ただ、楽しいショーを用意しただけだ」

「ショーだと!?」

「しょーさ」



 ……



「おかしいな。こういうの、好きじゃなかったかい?」

「ふざけやがって!」


「まあいいさ。さあ、おいで……

 いいものを見せてあげるよ……」



 ……



「な、なに!?」


 ニャルラトホテプの声に呼応するように、

 やがてあゆむ達を、自身の影が取り押さえます。


「ふふ……さあ、来いよ『俺』」

「クソ! 俺がお前なもんか!」


 あゆむは抵抗しますが、どうにも出来ません。

 そして、一人、また一人と、

 瘴気で作られた球体に閉じ込めました。


「喜んでくれていいよ。特等席だ」

「お前は手を下さないんじゃなかったのか!!」


「そうだよ? 言ったろ?

 これは特等席だよ。

 ふふっ、楽しいね」


「詭弁を……!」


 バアルゼブルの渾身の蹴りでも、

 それはビクともしません。


 ガブリエルママが風の剣で斬っても、

 ミカエルさんが祈っても変化はありません。


「わたくし達の行動は、尽く効果なしですか……」


「ふふふ……あはは」


 ニャルラトホテプの一際大きな笑いが木霊し、

 あゆむ達は闇に呑まれていきます。


 7畳の部屋の光が、日食に呑まれるように、

 次々と消えていきました……



 ――――



 その頃、異界化した幼稚園では――


 空は黒く、地面からは瘴気が這い上がり、

 園庭は薄暗い闇に覆われています。


 教室では、あすか先生が園児達を集めていました。


「大丈夫、大丈夫だからね。先生がいるからね」


 あすか先生は両腕を広げ、園児達を自分の背中に庇います。

 声は震えていますが、それでも園児達を守ろうとする姿勢は崩しません。


 ふじこちゃんが泣き、骨川くんがしずかちゃんの手を握り、

 園児達はあすか先生の背中にしがみつきます。


 その中で、たけしくんだけが教室の窓から園庭を見つめていました。


「サタン……」


 園庭の真ん中に、サタンちゃんが一人立っています。

 尻尾はぴんと立ち、拳は握られ、

 小さな体が微かに震えていますが、その足は動きません。


(この匂い……知ってるでしゅ)


 瘴気。

 かつての自分――悪魔竜王サタンの時代に嗅いだことのある闇の気配。

 それが、今、自分の居場所を侵しています。


(ニャルラトホテプ……でしゅ)


 サタンちゃんの頭に、邪神の名前が浮かびます。


 その時です。


 園庭の中央、サタンちゃんの足元から、

 地面を突き破るように黒い影が噴き上がりました。


 影は渦を巻きながら膨張し、形を成していきます。


 七つの頭。

 六枚の翼。

 大地を揺るがす巨躯。


 かつての魔王――悪魔竜王サタンの影が、そこに立っていました。


 ――七体も。


 園児達の悲鳴が教室を揺らします。


「なにあれ!!」

「こわいー!!」

「おかあさーん!!」


 あすか先生が歯を食いしばり、園児達の前から動きません。


(やべえな……アスタロトに戻るか!? けど、んなことしたら……)


「……アスタロト」


 犬小屋の方角から、グラシャラボラスの声が聞こえますが、

 瘴気の壁に阻まれたまま、合流できずにいます。


「こっちも動けん……! くそっ!」


 魔王の影一体が一歩踏み出すと、園庭が揺れ、

 衝撃波が教室の窓ガラスをびりびりと震わせます。


 サタンちゃんは、自分の過去の姿を見上げます。

 

 かつての自分。

 全てを焼き尽くし、全てを支配した魔王。

 それが今、目の前で、自分の仲間に牙を剥こうとしている。


「これが君の本当の姿だよ、サタン」


 ニャルラトホテプの声が、空から降り注ぎます。


「覚えているだろう? この力を。この姿を。

 角も、翼も、尻尾も、コスプレなんかじゃない。

 本物の君だ」


「…………」


「かくれんぼは得意かい?

 君はずっと隠れていた。

 人間のフリをして、幼稚園児のフリをして、

 コスプレで誤魔化して。

 ……でも、頭は隠せても、尻尾は隠せなかったね」


 サタンちゃんの体が、強く震えます。


 魔王の影が咆哮します。

 黒いブレスが喉の奥で渦巻き、園舎に向けて放たれようとしています。


 教室の中で、園児達がさらに悲鳴を上げます。

 あすか先生が目を閉じかけた時――


「やめるでしゅ!!」


 サタンちゃんが……5歳の魔王が、

 かつての自身の影の前に飛び出し、

 両腕を広げみんなを庇います。


「おまえは妾でしゅ。妾の過去でしゅ!」


 声が震えています。

 膝が笑っています。

 それでもサタンちゃんは、一歩も退きません。


「でも、みんなには手を出させないでしゅ!」


 魔王の影が再びブレスを吐こうとします。

 サタンちゃんの尻尾のリボンが、熱風に煽られてほどけていきます。


 いつも被っていた制帽が外れ、小さくて赤い角が顕になります。

 小さく、でも確かな魔王の角。


 サタンちゃんは目を閉じます。


(もう隠れなくていいでしゅ)


 かくれんぼは、おしまいです。


 サタンちゃんの体から、力が解放されます。

 尻尾のリボンが完全に解け、

 竜の尾が普段より太く、長く伸びます。

 背中から小さな翼が展開し、目が赤く輝きます。


 5歳の体のまま、しかしそこに現れたのは、

 紛れもなく悪魔竜王サタンの力です。


「サタン……ちゃん?」


 教室内では、サタンちゃんの変化に、園児達が疑念を感じ始めました。


「見るな!!」


 あすか先生は、せめてサタンちゃんの秘密だけでも守ろうと声を張りますが、

 一度見てしまった事実は、芽生えてしまった好奇心は消せません。

 園児達は、徐々に――

『サタンちゃんは友達以外の何かではないのか』という疑念を抱きます。



 …………



「妾の仲間に、手を出すなでしゅ!!」

「僕は何もしないよ。君が勝手に傷付いているんだ。

 そうだろう?」


「クソー!!」


 あすか先生は我を忘れ、飛び出そうとしますが、園児の一人が服を掴み、

 ハッと我に返ります。


「……先生、怖いよ」

「……クソ……」


 あすか先生はただ拳を握り、園児達を守ることしか出来ません。



 (サタン……)



 一方――外では天蓋から黒い球体が這い出てきます。



 それは――



「そうそう、お客さんを用意したよ……」


「サタン!!」


 その声に、サタンちゃんの目が大きく見開かれます。

 上空に現れたのは、7畳の部屋の仲間達、

 あゆむも、ミカエルさんも、エミエルも捉えられています。


「サタン!!」


 ミカエルさんの悲痛な叫びに、サタンちゃんは怒りを震わせます。


「妹に手を出すなでしゅーーーー!!!!」


 サタンちゃんが咆哮すると、赤黒い電撃がサタンちゃんを包みます。

 ミカエルさんは膝から崩れ、顔を手で覆います。


「あははっ、楽しいね!」


 邪神の嗤いが結界内に響き、園児達が震え、

 あゆむ達が唇を噛み締めます。


 七体の魔王の影が、漆黒のブレスをサタンちゃんへ差し向け、

 サタンちゃんはそれを真正面から受け止めます。


 黒いブレス同士がぶつかり合い、

 園庭の地面がひび割れます。


 教室の窓から、園児達がその光景を見つめていました。


 ……


 しかし、魔王の影はニャルラトホテプの瘴気で強化されています。

 サタンちゃんの力は本来の何分の一にも満たない5歳の体。


 押し合いは、次第にサタンちゃんの方へ傾き始めます。


「がんばるね。でも君は5歳の体だ。

 魔王は魔王でも、弱い魔王だ」


 ニャルラトホテプの声が、嘲笑を含みます。


「さあ、どうする? このまま押し潰されるかい?

 それとも、本当の姿に戻るかい?

 でもそうしたら、もう幼稚園には通えないね。

 だって、お友達が怖がっちゃうね」


 サタンちゃんの腕が折れかけます。

 翼がきしみ、尻尾が地面を叩きます。


 膝が地面につきます。


(このままじゃ……負けるでしゅ……)



「方法が一つだけあるよ……」



 それは邪神の常套手段、悪魔の囁きでした。


「瘴気を吸えば、君は元の姿を取り戻せる。

 皆を守れるよ? 君の秘密と、幼稚園での生活と引き換えにね」


「耳を貸すな!! サタン!!」


「やっちゃダメーーーー!!」


「お願い、やめてーーーー!!」


 あゆむが、エミエルが止め、ミカエルさんが泣き叫びます。


 サタンちゃんは一瞬、ミカエルさんを見ます。


「……大丈夫でしゅよ?」


「……え?」


「ミカエリュも、みんなも、妾が守るでしゅ。

 ……守るんでしゅーーーー!!!!」



 サタンちゃんはそう叫ぶと、瘴気を一気に吸い、

 かつての姿へ変貌します。


 身体が肥大化し、複数の頭が生えだします。

 角は十本になり、翼は黒く光り、

 やがて姿を見せます。


 ――七つの頭、六枚の翼の魔竜……悪魔竜王サタンへと。



「あははっ! そうでなければね」


 ニャルラトホテプがそう嗤ったその時、

 エミエルが結界に触れようとします。


「わたしの力なら……」


 けど、ほんの一瞬、口角が上がったのを、あゆむは見ていました。


「やめろ!!」


 エミエルの手が止まります。


「笑顔の力は使うな。奴はそれを使うのを待っている。

 笑顔の力は絶対善、奴はそれを突きつけ証明しようとしている。

 『お前の力はディストピア』だって」


「使いたければ使ってもいいよ。

 僕が正しかったことがわかるだけ。

 使っても使わなくても、僕は楽しめる……ふふふ」


「ニャルラトホテプ……!!」


 あゆむは睨むことしか出来ない自分へ腹を立てますが、

 どこか冷めた目であゆむを睨んだ邪神の瞳を、

 あゆむは確かに捉えました。



(奴は焦っている……)



 その一方、背後では、悪魔化したサタンちゃんを見て、

 園児の泣き叫ぶ声が聞こえます。



「悪魔だ!!」

「怖いよー!!」

「助けてー!」


 その声の一つ一つがサタンちゃんを……サタンを抉ります。

 しかし、サタンは教室を守るように背を向け、

 ブレスをひたすらに受け止めます。



「……なんであれは何もしないんだ」


 そう声を発したのは骨川くんです。


「仲間割れだよ。誰がわたし達を最初に食べるか、

 そうケンカしてるんだわ……」



 しずかちゃんが、そう泣きながら答えた時です。



「バカかよ!! よく見ろ!!」


 たけしくんの声が恐怖を消し飛ばすほど、教室の壁に反響します。


「魔王だよ!! 魔王が……サタンが守ってくれてんだよ!!

 んなこともわからねーで、友達やってたのかよ!!

 お前らは、サタンの何を見てきたんだよ!!」



 その声は、教室のみならず、外にまで響きます。



 サタンの目からは黒い液体が溢れ、

 ミカエルさんは大粒の涙を流し、

 赤くなった目で必死に戦うサタンを、祈るように見守ります。



 …………



「サタンちゃん……ピーマン嫌いで、

 からあげと交換してって言ってきたよね」


 ふじこちゃんが笑います。



「以前公園で遊んだ時、尻尾で助けてくれたっけ……」


 伸太くんが窓に張り付きます。



「かくれんぼでも一生懸命だったよね。

 いつも尻尾が隠せなくて、バレるんだけど」


 骨川くんがくすくすと思わず笑います。



「あいつはいつだって、俺達と一緒にいたんだ。

 全力で魔王をやっていた……それだけだった」



(妾は……みんなを守れないでしゅか……)



 園の向こうで、ピピが瘴気の壁を叩いています。



「サタンちゃん!! サタンちゃん!!」


 声は届きません。

 拳も届きません。

 ピピの手は青く滲み、それでも叩くのをやめません。


 あゆむが歯を食いしばり、エミエルが胸に手を当て、

 ガブリエルママが風を纏い、ミカエルさんが祈り、

 バアルゼブルが蹴り続けます。


 誰も、諦めていません。

 しかし、誰も、届かない。





 その時です。





「がんばれーーーー!!」



 声が聞こえました。


 サタンが顔を上げます。


 教室の窓から、たけしくんが身を乗り出していました。



「負けんなよ、魔王!!」


 たけしくんの声に続くように、ふじこちゃんが叫びます。



「サタンちゃーん!!」


 しずかちゃんが、骨川くんが、伸太くんが、園児達が、

 一人、また一人と窓に駆け寄ります。



「がんばれー!」

「まけないでー!」

「サタンちゃーん!!」


 角が生え、翼が広がり、悪魔の竜の力を持つサタンを見て、

 怯えている子もいます。

 泣いている子もいます。


 けれど、たけしくんが叫んだ瞬間に、

 恐怖よりも大切なものが、園児達の中で勝ったのです。


「おうさまー! がんばれー!」


 あすか先生も涙を浮かべながら拳を握ります。


「魔王ー!! 負けんなー!!」


 ……サタンの目から、涙が止まりません。


(みんな……妾を……怖がらないでしゅか……?)



 声援は、止まりません。



(妾の角を見ても……翼を見ても……

 それでも……友達でいてくれるでしゅか……?)



 サタンの体に、微かに力が戻ります。

 園児達の声が、瘴気の中で小さな光になります。



「みんな! 思い出して!」


 声をあげたのはエミエルです。

 今、彼女は笑っています。

 その笑顔は権能の笑いではありません。


(泣きながら、笑っている……)


 エミエルは、たけしくんの叫びからヒントを得たのです。


「知ってる……?

 ヒトは……思い出すだけでも、笑顔になれるんだよ?」



 エミエルが翼を広げ、翼から放たれる風が、

 サタンちゃんとの思い出を呼び起こします。



 …………



「……最初来た時、お前、ホラー映画で怖がって、

 夜トイレに行けなかったよな……」


 あゆむが思い出し、笑みを浮かべます。

 ぎこちない、けれど、確実に自然な笑顔で。



「……わたくしをお世話係と任命してくれました」


 ピピも胸の前で手を組み、笑顔を見せます。



「トリエルの遊び相手になってくれましたね」


 ガブリエルママも、メガネを押さえ、

 優しい表情を作ります。



「貴方はいつでも私の王ですよ」


 バアルゼブルが敬礼をします。



 思い思いの笑顔が結界内で広がり、

 あゆむ達を閉じ込める球体――瘴気の檻を弱めていきます。



「サタン!!」


 あゆむが声をあげます。



「サタンちゃん!」


 ピピが。



「サタン!」


 ガブリエルママが。



「サタン様」


 バアルゼブルが。



 そして――



「負けないで…………

 ルシファーーーー!!!!」



 ミカエルさんが魂の声援をあげます。



「グァァァァ!!!!」



 瞬間、サタンの体に変化が起きます。


 黒い翼は白いものへ変わり、


 黒ずんだハローは太陽のように銀色に輝き、


 頭上にはかつての影――熾天使ルシファーが浮かんでいました。



「…………!?」



 園舎の上、スーツ姿の青年の姿で見ていた邪神、

 ニャルラトホテプは初めて絶句し、沈黙します。


 想定を超えた奇跡が、

 園児と、エミエルと、ミカエルさんの思いが――

 初めて邪神を黙らせたのです。



 苦痛で。



「見るがよい!! 浅き邪神よ!!

 これが、本物の……サタンの力だ!!」



 熾天使の力を取り戻したサタンは、反逆の権能を全開にします。


 瘴気の檻が一気に壊れ、天蓋に微かなヒビが入ります。



「「「「いけーーーー!! サタン!!!!」」」」



 あゆむ達が、園児達が、サタンを応援します。


 熾天使サタンは、七つの首から光のブレスを放ち、


 影のサタンを一撃の元で消し飛ばします。


 熾天使サタンは、自らの過去に完全に打ち勝ったのです。



「「「「サタンちゃーーーーん!!!!」」」」



 教室のドアが放たれ、園児達が一斉に熾天使サタンの元へ駆け出し、

 あゆむ達も合流します。


「すげー!! 本物じゃん!!」

「サタンちゃんかっこいい!!」

「凄いよ!! 凄いよ!!」


「俺は信じてたぜ、魔王」


 たけしくんは鼻を啜り、ちょっと照れくさそうです。



(……やるじゃねえか……魔王)



 ……



 笑顔が場を制し、天蓋のヒビが強くなります。



「……面白いね」


 それの声に力はありません。

 ニャルラトホテプは負けたのです。

 あらゆる手を尽くしても、本当の笑顔に。


「思い出し笑いか……覚えておくよ」



 声は天井に吸い込まれるように薄れていきます。



「影は光がある限り、必ず生まれる。

 ……また会おう。小さな魔王」



 そう言ってニャルラトホテプが消えようとした時です。



「!?」


 ニャルラトホテプが足元に違和感を覚えると、そこにいました。


 おばけ達が、七井瑠亜、佐藤徹、桜井照人――

 これまでニャルラトホテプが作り出した化身の姿に化け、

 ニャルラトホテプを羽交い締めにします。


「……逃がさないよ」

「大丈夫……最初だけだよ」

「お前一人でどこへ行く気だ……」


 他のおばけも、無数の顔を持つ亡者の姿を取り、

 ニャルラトホテプの足を掴みます。



「「「こっちへ来い……!!」」」



「!!??」



 普段おちゃらけているおばけ達の本気の怒りに、

 邪神の優位性が揺らぎ、嘲笑が薄れます。



 ――その時でした。



「よくやってくれました。おかげで間に合いました」


 園庭に大きな火柱が上がり、

 それはウリエル様とアマテラス様へと変化します。


「もう結構ですよ。後始末は、わたくしが致します」


 アマテラス様は口調こそ丁寧ですが、顔は笑っていません。

 おばけ達はそれを読み取ると、

 元の姿に戻り、ニャルラトホテプを離します。


「離していいのかい? 僕は逃げるよ?」


「ご自由に。出来るものならね……」



 ニャルラトホテプはふっと嗤い、上空へ飛び、

 やがて天蓋で――



 頭を打ちました。



「――っ!?

 何……!?」


 ニャルラトホテプはアマテラス様を睨みつけます。

 その表情に、もはや嘲笑はありません。


「何をした!?」


「わたくしは何も――わたくしは、ね。

 いえ……貴方の言葉を借りるなら――

 私は何もしていない、お前が勝手に罠にかかった」


 アマテラス様がそう言うと、天蓋が――いえ、

 天蓋だと思っていたものから光が差し込み、

 大きな手と顔が覗かせます。


「な……なんだあれ」



 あゆむが空を見上げ、園児達も驚き、

 あすか先生が青ざめます。



「おい……あれ……まさか……」



 アマテラス様はニャルラトホテプへ『嘲笑』を向け、

 扇子を広げます。


「ご紹介しましょう……仏陀……またの名を、お釈迦様です」


「お……」

「お……!?」


 それは確かに、お釈迦様と呼ばれました。

 お釈迦様は空を貫くほどの巨体でニャルラトホテプを見下ろし、

 大きな手で、彼奴を掴んでいます。


 今まで天蓋だと思っていたそれは、

 いつの間にかに、お釈迦様の手のひらだったのです。


「……なるほど、確かにマーラに似ておりますが、

 しかして別ですね」


「それはすみません。お釈迦様。間違えました」


 アマテラス様は白々しく笑い、

 ウリエル様は隣で冷や汗をかきます。


(お釈迦様を騙して利用するなんて……寿命が千年縮むぞ)


「ふふっ、そういうことにしておきましょう。

 良い機会です。では、これはわたくしが預かりましょう」


「助かりますわ」


 ニャルラトホテプは、お釈迦様の手から逃げようと藻掻きますが、

 お釈迦様は全く動じません。


 ニャルラトホテプは――動けません。


「無駄ですよ。邪神」


 アマテラス様の冷たい声が空を切ります。


「お釈迦様は悟りを得た方。

 心を利用するお前は、マーラ同様、何も出来ない。

 この世界の全ての化身も同時に捕まえました。

 やりすぎた、お前は」


 やがてお釈迦様の手が空へと消え、

 ニャルラトホテプの微かな声が地上に届きます。


「たかだか数十年のミームに過ぎないお前が、

 数千年の神話に勝てると思わないことです。

 こっちは既にマーラとも戦っている」



「……また会いに来るよ……異世界からね……」



 声が消え、異空間が崩壊し始めます。

 一瞬視界が歪み、消えていた景色――

 商店街が戻り、住宅街が戻り、

 太陽の光が園庭に降り注ぎます。


 世界が、元に戻りました。

 園庭に日差しが戻ります。


 サタンちゃんの翼が光に溶け、

 角は小さく縮み、尻尾も元の大きさに戻ります。


 ただし、本物の角と、本物の尻尾が、そこにあります。


 園児達がゆっくりと教室から出てきます。

 サタンちゃんとの間に、沈黙が流れます。


 サタンちゃんは俯きます。


(バレたでしゅ……全部バレたでしゅ……)


 かくれんぼは終わりました。

 もう隠れる場所はありません。


(みんな……こわい……でしゅか……?)


 サタンちゃんが顔を上げられずにいると、


 小さな手が、サタンちゃんの角に触れました。


「……じょ?」


 顔を上げると、たけしくんが立っていました。


「やっぱ本物だったんだな」


 たけしくんが、角をそっと触ります。


「かっけーじゃん」


 サタンちゃんの目が見開かれます。


「サタンちゃん、角ほんものー?」


 ふじこちゃんが駆け寄ります。


「尻尾もー?」

「すごーい!」


 園児達が、一人、また一人とサタンちゃんの周りに集まります。


 怯えている子もいます。

 まだ教室の中にいる子もいます。


 でも、たけしくんが触れたことで、空気が少しずつ変わっていきます。


「サタンちゃん、ほんとに魔王だったんだー」

「さっきのすごかったー!」

「かっこよかったー!」


「み……みんな……」


 サタンちゃんの目から、大粒の涙がこぼれます。

 声にならない嗚咽が漏れ、尻尾が力なく垂れ下がります。


「こわく……ないでしゅか……?」


 たけしくんがサタンちゃんの頭をぽんと叩きます。


「怖くねーよ。だってサタンだろ」


「……っ!!」


 サタンちゃんが声を上げて泣きます。

 たけしくんの胸に顔を埋め、わんわんと泣きます。


 やがてピピがそっと歩み寄り、サタンちゃんを後ろから優しく抱きしめます。

 サタンちゃんの尻尾がピピの腕にぎゅっと巻きつきます。


「よく頑張りましたね、サタンちゃん」


 ピピの冷たい手が、サタンちゃんの温かい頭を撫でます。


「ピピママ……妾……妾……みんなに……バレちゃったでしゅ……」


「はい。バレちゃいましたね」


 ピピは微笑みます。


「でも、もう隠れなくていいんですよ」


 サタンちゃんがピピの胸でさらに泣きます。

 ピピの白いワンピースが涙で濡れていきます。


 あゆむが少し離れた場所から、その光景を見ています。

 空を見上げると、太陽が園庭を照らしています。


 それはまるでとても大きな笑顔のようです。


 その光の中に、アマテラス様の姿は、もうありませんでした。


 扇子で口元を隠していたのか、笑っていたのか。

 それは、誰にもわかりません。


 ウリエル様の姿もありません。

 ただ、園庭に微かな風が吹いたのは、彼女の名残でしょうか。


 ……


 あすか先生が園児達を見回し、全員の無事を確認すると、

 どっと膝から崩れ落ちます。


「……はぁーー……」


 それは安堵のため息か、もう全てを受け入れるため息なのか。

 あすか先生はサタンちゃんを見つめると、苦笑します。


「……どうすっかなー」


「……でしゅ」


 サタンちゃんが鼻を啜りながら顔を上げると、

 あすか先生が親指を立てます。


「かっこよかったよ、魔王様」


 

 幼稚園の全員サタンちゃんを取り囲み笑顔を見せます。

 かつては恐れられる悪魔であったサタン。

 しかして今は小さな魔王、そしてみんなの魔王。


 彼女の笑顔は、彼女達の笑顔は、きっと天まで届くでしょう。



 ――――


 

「――で、なんでいるんすか?」


 7畳の部屋では、ガラステーブルで麻雀を囲う――

 仏陀様と、アマテラス様、ウリエル様、あすか先生がいました。



「いやー、インド神界だとゆっくり麻雀出来なくて!」

「ずりーぞ仏陀、また悟ったろ!」

「お前……口が……」

「はは、それでこそアマテラスお嬢だ」

「お嬢っていうんじゃねえよ」



 あゆむ達はこの神話の麻雀に、ただ呆然としています。



「で、お嬢。本当のところ、マーラどうしたの?」


「さあな……てかどうせ知ってんだろうが」


「お前……お前……」


「なんであたしが……」


(マーラを岩戸で隠して、彼奴をマーラとして差し向ける……食えないねえ)


 仏陀様は、くすりと笑うのみです。



「あの……あんな終わり方ですけど、俺らは勝ったんですか?

 これって――」

「デウス・エクス・マキナだと?」



 あゆむは率直な疑念に仏陀様が先制します。

 仏陀様は一瞬だけ押し黙ると、優しく微笑みかけます。


「私は……正確には釈迦としての自分は、

 貴方達の最後の掃除をしただけ。

 邪神を倒したのは、間違いなく貴方達の力です。

  誇りなさい。

 私は何もせず、水だけ欲しがる花には雨は降らせません」


 アマテラス様もうなずき、皆があゆむとサタンちゃんの肩を抱きます。


「貴方は邪神という山盛りの料理を食べた。

 私はその皿を洗った。

 ただそれだけです」


 仏陀様はそう言ってウィンクをします。


 ここで、あゆむも笑顔を作ります。


「ありがとうございます。

 ――で、帰ってくれます?

 ここ俺ん家なんで」


「硬いことを言いますね」

「硬くねーよ!!」


 あゆむの渾身のツッコミが仏陀様に炸裂し、

 7畳の部屋のカオスはまだまだこれからも続きそうです。



「ここは……俺の家じゃーーーー!!!!」



 めでた――


「めでたくねーーーー!!!!」

後日談もこれで終了です。

ニャルラトホテプ篇では、一貫してサタンちゃんをメインに添えました。


メインストーリーではエミエルと美恵母娘をメインで扱い、その救済を描き、

後日談では権能によって生まれたメインストーリーのラスボス、サタンちゃんに焦点を当てています。


最後はお釈迦様エンドですが、伏線は実は早い段階から貼っています。

これをデウス・エクス・マキナと取るか、大団円と取るかはお任せします。


ニャルラトホテプは当初、這い寄る混沌篇の十二話でタコのぬいぐるみになって同居予定でしたが、

このままエミエルの対極存在として、後日談最大のヴィランになってもらいました。


いずれ本体で来るという伏線も残しています。


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