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プロローグ
今日は特別な一日になるはずだった。
私の16歳の誕生日。
庭で採れた夏野菜のサラダ。
特別な日にしか食べられない牛肉の煮込みに自家製のパン。
2人で摘んだ木苺とブルーベリーで作ったジャムと、バタークリームを間に挟んだケーキ。
お母さんは誕生日ケーキを頬張る私を毎年嬉しそうに見つめていたが、なぜか少し悲しそうでもあった。
なぜ悲しい顔をしているの?
その答えがわかるかもしれなかった今日。
恐怖に震える私の頭に響いたのは、出かける度にお母さんから言われていた言葉。
『レイラ、逢魔時に外に出てはだめよ。よくないモノが出るからね』




