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2.異世界転移……?

 異世界転移と言っても種類は色々とあると思う。

 僕も一応、その手の小説は読んだことがある。よくある展開としては、勇者召喚として異世界転移してしまうパターン。


 僕は周囲を見渡す。どこを見ても真緑。大自然の中に放り出されており、どこにも僕を呼び出したような王様とか魔術師の人影はない。

 ということは、勇者召喚されたパターンではなく、偶発的に異世界転移してしまったパターンなのかな?

 異世界転生したという感じもしない。いつの間にか死んでいたとしても、神様のような人には会ってないし……。


「これからどうすればいいんだ……?」


 本当に異世界転移したならちょっとワクワクするけど、まず何をすればいいんだろう……?

 他にあるのはこの大自然の中で唯一の人工物のコンビニだけ。……というかなんでスマストまで来ているの?

 薄暗い森の中にぼんやりと光る見慣れた店舗が、妙に非現実的で薄気味悪かった。


「……ん?」


 ガサガサと草をかき分ける音がしてそちらを見た。

 あれってゴブリン? 景色と同化して分かりづらかったけど、ゲームでよく見るような緑の小鬼がそこにいた。棍棒のようなものまで手にしている。


「え、あっ、ちょっと待って!」


 そいつは僕を見つけるといきなり殴りかかってきた!

 慌てて逃げたので、棍棒は当たらなかった。

 え、これはどうすればいいの!? 倒せばいいの!??

 でも、そんな力なんて僕には……あっそうだ!


「ステータスオープン!」


 異世界転移したなら、もしかしたら僕にはすごい力が与えられているかもしれない!

 それを確かめる方法は、よくあるのがステータスを確認することだ。だから僕は決まり文句を言ってみたんだけど……。


「え、え? なんで何も出ないの??」


 視界には何の画面も現れなかった。

 ステータスオープンできるような世界観じゃないのか! くそっ!

 いきなり大声を叫んだ僕を前に、ゴブリンは警戒していたけど、何も起きないと分かると再び襲いかかってきた。

 とりあえず僕に出来ることは……。


「逃げるしかないよ〜〜〜!!」


 慌てて僕はコンビニの中に逃げた。

 僕を出迎えるように入店音が鳴り響く。

 でもコンビニに逃げ帰ってもどうすればいいんだ?

 武器なんて何も――あ、刺股ならあった!

 レジカウンターの向こうから刺股を取り出して手に持つ。

 大丈夫……落ち着け。刺股を持ってヤー!って突撃すればいい、ほらあの小さくて可愛い奴らみたいに!


「なんとかなれー! …………あれ? 入ってこない?」


 気合いを入れて入口に行ったのに、拍子抜けした。

 開いた自動ドアの向こうに、確かにゴブリンはいた。

 でもゴブリンは見えない何かを叩いており、それに阻まれているのか店内には一歩も入れない様子だった。

 しばらく対峙していたけど、ゴブリンは諦めてコンビニから離れて行った。……本当になんとかなっちゃった。


「……何もない」


 僕は手だけを外に出してみる。何も阻まれることなく手は外に出た。

 ……もしかしてゴブリンだけを通さないような結界か何かがこのコンビニに張られている?

 だとしたらこの店内にいる限り安全だ。


「はぁ……怖かった……」


 一気に脱力してその場にへたり込む。

 だって僕は普通のフリーター。元の世界で格闘技を習ったとかそういう経験はないんだから。


「それにしても……」


 ゴブリンがいたってことは、やっぱりここは異世界ってコト!?



ワァ……!

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