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96、報告

「ど、どういうことなんだ……カナデくんのいた『地球』の言語……?」


「お、おにいちゃんがもともといたところだよね? 『地球』って……そこの言葉なの……?」


 二人に説明するのは難しい。しかも今は、こんな災害の真っ只中だ。落ち着いて話せる状況でもないし、多分、説明しても理解できないだろう。


「ミト、サクヤさん。一旦ここは退きましょう。今はこの説明をしている場合ではありません。先にやるべきことをやりましょう」


 俺はサクヤに軽く檄を飛ばす。

 まずは国民の安全確保。この山の災害状況と情報の整理。そして、生活基盤の復旧が先決だ、と。


「わかった。確かにその通りだ」


「俺は少しだけ時間をもらって、この石板の写生をします。ミトは先にスクとモノさんに連絡をしてほしい」


「カナデ様、一部はすでに写しております。何人かで分割して作業しておりますので、まずはこの部分だけでもお持ちください。すべて写し終えたら、後ほど急ぎ王都までお持ちします」


 なんと、もう俺のやろうとしていたことを、先にやってくれていた。


「ああ……本当に助かります。くれぐれも、お気をつけて作業なさってください」


 俺は、もらった写しの一部を持ち帰り、まずは王都に向けて急ぐことにした。


「おにいちゃん、いこう」


 俺とミトは王都へ。

 サクヤ、スク、モノは、周辺の状況精査と、各村や町を回ることになった。


ーーーーー


 そして、俺とミトは王都に到着した。


「王様はおられますか!」


 俺は王宮内に入り、すぐに王の所在を確認した。


「はっ、王様はいまだ野外の避難所におられます。向かわれますか?」

「ありがとうございます。そのまま向かいますので」


 俺たちは休む間もなく、王のもとへと向かった。


「おお、カナデよ! 無事であったか」


 王が俺に縋るように腕を掴んだ。


「俺たちは大丈夫です。現地ではサクヤさんとスクたちが、まだ救助活動をしています。現在、被害状況を確認中です」


「そうか、なによりだ。おぬしの家族もおる。すぐに行ってやれ」

「恐縮です。会いに行ってきます」


 俺はソウリュウたちのところに向かい、無事を伝える。


「おおカナデ、無事じゃったか。心配したぞい」

「カナデさま、おかえりなさいなのです。本当に……よかったのです」

「まあ、カナデは無事に帰ってくると信じてたよ!」

「みなさんも無事でなによりです。少ししたらまたここを離れますが、なにかありましたか?」


 みんなの無事を確認できて、ひとまず安心した。

 王都周辺の住民は、見たところ被害はなさそうだった。


「特にないぞ。灰がすごいくらいじゃな。まあこれくらい、どうってことないじゃろ」

「わかりました。では、また連絡しますね」


 俺とミトは再び王のもとへ向かい、王宮の司書室を借りることにした。

 本当は図書館に行きたいところだが、今、例の魔導士と対峙するのはちょっと面倒だ。


 まずは、この石板の解析だ。


 俺とミトでしばらく作業を続け、丸一日ほど経った頃、サクヤが王宮に到着したとの一報を受け、謁見の間にて集まることとなった。


ーーーーー


 謁見の間にて──


 王、大臣、サクヤ、衛兵、俺、ミト、スク、モノが集まった。

 俺のたっての希望で、家族もこの場に同席させてもらうことになった。


「では、始めよう。此度の災害について。まずは報告から申せ」


 ヤトマ村周辺をスク、モノ。

 シャロウィン山麓、周辺、五合目を精鋭部隊。

 シャロウィン山南側部隊。イスト・カイオン地域部隊。ノッサ、スーナおよび北地方部隊。

 それぞれが順に報告を行った。


 シャロウィン山五合目の部隊に犠牲があった。

 謹んで、黙祷の時間が設けられた。


 そして──いよいよ本題に入る。


「では本題に入ります。遺跡調査部隊からの報告を」

 大臣が議題を進行した。


「はっ! シャロウィン山五合目にて、遺跡調査部隊および周辺警護隊は──おそらくカナデ様の演奏終了の時刻の頃──突然、遺跡周辺が発火。その後、爆発に至りました。犠牲者は10名。負傷者は数十名にのぼります。爆発が収まった頃合いを見計らい、調査隊が再び現場に入りましたところ、以前発見されていた石板の全容が出現していたものと思われます」


「爆発による損壊は?」と、王。


「多少の綻びはありますが、かなり頑丈な素材のようで、ほとんど損壊は見られません。ただいま、損傷箇所の捜索を進めております」


「全部が露出したということなのか?」と、大臣。

「いえ、おそらく一部がせり上がってきたものと思われます。現在、実測中でございます」


「魔物は出なかったのか?」と、別の大臣。

「当初、周辺に姿は見られましたが、特段、遺跡とは関係のないものと思われます。また、遺跡の全容が顕れた後も、魔物の出現は確認されておりません。西の遺跡とはまったく性質が異なると考えられます」


「ご苦労。そなたたちには、のちに恩給を与えよう」

 王がそう言い、調査部隊の報告は終了した。


「して、ここからは……カナデよ。おぬしの報告を頼む」


 王の声に促され、俺は用意していたまとめの資料と、新たに写生してもらった紙を手に取り、発言の場に立った。


「では、遺跡の石板について、僭越ながら申し上げます」


 みんなの表情を伺う。

 室内が一瞬、静まり返る。


「まず、報告に先立ちまして──遺跡調査部隊のみなさん、そして犠牲となった隊員の方々に、心より敬意を表します」


 俺は一拍置いて、続けた。


「この度の石板に記されていた文字については、現地で確認した際、すでにサクヤさんとミトには伝えてあります。また事前準備として、王様にも簡単な説明を済ませております」


「つづけよ」と、王。


「そして、王宮司書室にて、俺とミトで一日半かけて解析および解読を行い──石板の冒頭部分のみ、内容を読み解くことができました。前もって申し上げておきますが、これはあくまで暫定的なものであり、完璧な解析ではありません」


 前置きはこのくらいにしておく。


「では、本解析について、まず『文字の種類』について申し上げます」


 少し、場内がざわついた。

 王が手を上げて、それを静めた。

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