51、ローゲ温泉で一息
俺たち一行は、まずローゲ温泉に向かった。今回はトリ車も取り入れた。トリ車はスクとランダに任せた。荷物がだいぶ軽くなり、帰りにはたくさんの素材を積み込むことができる。スクは意外にもトリ車の扱いが上手く、器用に操っていた。
俺とサクヤ、護衛の一人はそれぞれトリーマに乗り、ランダはスクと一緒にトリ車に乗っている。
「このトリ車さん、すごく楽なのです」
「ランダ、操縦代わってよ。ぼく足が届かなくて疲れるんだ」
「スクくんのほうが上手なのです。トリさんも嬉しそうなのですよ」
「そんなこと言って、変わりたくないだけでしょ?」
「わたしはここに乗ってるだけでも、割と上出来なのですオロ」
「うわああやめてやめてやめて」
どうやらトリ車組は楽しそうにやっているようだ。
こうして、俺たちはローゲ温泉に到着した。王都からの道も半分は整備されていたおかげで、思ったより早く、しかも疲労感も少なく到着できた。
「おお、カナデさん、また来たんだべか? よう来たのう」
「村長さん、こないだぶりですけど、おかわりないですか?」
「おお、カナデさんだべ」
「わあ、またカナデが来てくれた~!」
「カナデさん、みなさん、まずはお風呂に入ってくださいな」
こないだの視察ぶりのローゲ温泉。最初に来たときよりも施設は拡張されており、豪華とまではいかないが、十分な規模になっていた。
「行くぞ、ランダくん! この温泉はとても気持ちいいのだ」
「温泉……こんなにたくさんのお湯が出るのですか? すごいのです!」
「お言葉に甘えて、みんなで温泉につかりましょうか」
俺たちは旅の疲れを癒すため、温泉へ向かった。
「フン、こんなのただのお湯でしょ? いうてそんなに気持ちいいわけがハァアアアアアアア!!!」
そんな即オチ二コマを決めて、首までお湯につかるスク。
隣の女風呂からも同じような吐息が聞こえ、俺たちは存分に温泉を堪能した。
風呂上がりには、みんなで牛乳を飲む。
「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクぷはぁ!!」
「ゴキュゴキュゴキュ……この牛さんのお乳、すごくおいしいのです!」
「フン、こんなのただの牛乳じゃないか。ゴクゴクゴクふむう、これはただの乳ではないですね?」
「わかるか? スク。ここの牛さんは、他では育たないブランド牛なんだよ」
「ブランド牛? なにそれ?」
「ま、まあ特別な品種ってことだよ。薬草にも、なかなか採れない種類があるだろ?」
「まあね。でもカナデには見分けつかないだろうけど」
生意気なやつだ。まあいい。あとでこの牛の焼肉で卒倒するがいいさ。
「牛さんが、なかなか増えねえんだべさ……」
どうやらここローゲの特産である『ダーヒ牛』の数が思うように増えていないらしい。
「少しはお出しできるんで、食べてってくだせえ」
「以前、歌を歌ったことで増加にはつながりませんでしたか?」
「いんや、牛さんの体調はいいんだけど、なかなか数が増えねえんだべ」
「どうしてでしょうね……?」
「でも少しずつは増えてるんで、このままでもいいんだべよ」
「ふーん……」
なにやらスクが牛をじっと見つめている。
「ああ、わかったよ。たぶんだけど、病気してるんだと思う」
「病気……?」
なるほど。確かに牛にも特有の病気があるかもしれない。
「ぼくが調合した薬で治るかもしれないよ」
「おお、坊ちゃん本当け? お願いしてもよいかのう?」
「いいんだけど、素材がないよ。一度ヤトマに行って調べてみないと」
スクはすぐにでも行こうと促してくる。……まあ、スクの本当の目的はヤトマ村に行くことだったしな。
「よし、じゃあ俺とスク、それから護衛の方一人でヤトマ村に行こう。サクヤさんとランダさんはここに残って、木材探しをお願いしてもいいですか?」
「うむ、そういうことなら構わないぞ。任せておけ」
「わたしは移動が苦手ですし、この辺りは森も多いし、ちょうどよかったのです……温泉もあるし(ボソ)」
こうして、俺たちは二手に分かれて、それぞれの目的へ向かうことになった。




