43、鋳鉄の町・リバウス
大きな川を渡り、俺たちはリバウスに着いた。イスト・カイオンの影響があったのか、ここリバウスも町としてなかなかの繁栄を見せていた。俺が王都に向かうときに立ち寄った村とは大違いだった。
そこで俺たちは情報を集め、リバウスには鋳鉄を扱う工房を取りまとめる「商会」があるという話を聞いたので、そこに向かうことにした。まずは説明する。王都の鉄鋼技術水準を上げたく、鋳鉄の技術指導をお願いしたかった。できれば王都で弟子を取ることも考えていたのだ。
「行かせられる人がいないでもねえぞ」
そう語るのは商会の長。髭をさすりながらこちらを値踏みしている。
「できればその方を紹介していただけませんか?こちらとしては農業や畜産の指導もできます」
「ほほう?お前が噂の御仁かい?なら話は早えな。いいぞ、紹介してやる。ちょっと待ってろ」
そうして長はその方を呼びつけた。
「イブキでっす!よろしくぅ!」
すごく元気っこが来た。
「あ、どうもよろしくお願いします。カナデです」
「お父ちゃんとお仕事してるのです、ランダというものです。よろしくなのです」
ランダは少し緊張している様子だ。
「なぁるほどぉ、はるばる王都からねぇ。やぁるじゃないかぁ、君たち!」
勢いよく俺たちの背中をバンバンと叩く。
「ど、どうも。俺は旅には慣れてるんですけどね」
なんともこれはちょっと気後れするな。
「それで長、私はどうしたらいいんだい?私にだってこっちの仕事があるさ」
「おまえの好きにすりゃいいぞ。期間限定でもいいから行ってやれよ」
なるほど、それでもいいな。
「わかった!んじゃいこっか!」
「え、ええ?もう決めちゃったんですか?後のことは……」
「そんなの後でなんとかなるってぇ!さぁ、いこういこう!」
こ、これはだいぶ苦手なタイプだ。満面の笑顔の奥にのぞく八重歯が、その爛漫な感じを際立たせる。
「おいイブキ、ちょっと待てや。弟子もとりてえってよ」
「そんじゃ私の弟を連れていこう!それでいいかい?」
「あ、はい、ありがとうございます。ではお二人ということなので、ちょっと5日ほど待っててもらっていいですか?」
俺は、ノッサとスーナ村にも向かう予定があることを告げた。連れるのは一人の予定だったので、できればスーナかノッサでトリーマを調達しようと考えていた。
「わかったよ!んじゃ弟にも説明しとくさ!」
そうして俺たちはノッサに向かい、その後スーナ村へと戻った。ランダは本来リバウスに置いてくる予定だったが、どうしても俺の故郷を見たいというのでついてくることになった。
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「カナデだべ〜〜〜」
「よう帰ったな〜〜カナデ〜〜〜」
「まぁ、元気そうでよかったよ……」
「わーいわーい、カナデ兄ちゃんだ〜!」
「ミトはどうしたんだべ?」
「そのねえちゃんは誰だべ?」
「久しぶりに歌聴かせてくれ〜〜」
「モ〜〜〜」
大歓迎は嬉しいが、一気に来られると対応しきれない。
「みなさんちょっと待って……待ってってば……ちょ、ちょま、へ、変なところ触らないでくれ〜」
揉み合いになりながらも、村人たちが次々と押し寄せてくる。みんなすごく元気だな。
「みなさん、落ち着きましょう。カナデが潰れてしまいますよ」
ようやくお父さんが現れた。父が来ると、みんなすぐに言うことを聞くんだよな。なんなんだろ、本当に。
「よく帰ったね、カナデ」
「ただいまです。お父さん。いろいろ報告もあります」
「では、みんなと一緒に集会所に行こうか」
こうして、解放された俺と旅の仲間たちは、村人が待つ集会所へと向かった。




