10、フルートついに完成
それから俺とミトは、いろいろな歌を歌ってみた。
また、さまざまな場所でも歌ってみた。人の心に、健康に、体力に、良い影響があった。家畜や川の魚にも同じように良い効果があった。
そして、もっとも影響が大きかったのは、畑だ。
俺とミトがせっせと耕した畑だけでなく、他の畑でも試したところ、生育が尋常ではなかった。それは、村人たちのお腹を満たすには十分な量となった。
「カナデ〜〜、今日もたのむべ〜〜」
「一緒に魚釣りにいこう、はやくはやく」
こんな感じで毎日忙しい。お昼までは自分たちの畑仕事をし、午後は自由に動き回った。
畑の作物の種類は限定的だったが、それでも今までよりずっと良い成果が出た。新しい歌を歌ったりはしたが、新しい作物にはまだ出会えなかった。
まあとりあえず記録をつけていくことにした。ミトには文字と数字、少しの記号も教えていた。俺が目で確認したことを、ミトがそばでメモを取り、それを後で二人でまとめる。表の作り方も教えた。計算が楽になるからだ。
こういったことは、地球での知識がかなり役に立つ。少しずつ取り入れていくことにした。
時間に余裕があったとき、俺は一人で裏山の丘の奥へ行き、横笛、いわゆるフルートの練習をしていた。だんだん上達してきた気がする。それは周辺の様子からもわかった。
相変わらずタヌーが近寄ってくるし、タヌー以外にも、得体の知れない何かが俺の周りに寄ってくる。警戒しつつ距離をとっている。まあ、こちらが手を出さなければ、それ以上近寄ってくることはなかった。
コブラ使いみたいなもんか。
最初は、この自作フルートのピッチの正確性を高めるために、穴を削り直したり、時には本体自体を作り直したりもした。
今はようやく完成をみたので、いろんな曲を吹いてみている。
幼少からやっていたピアノ曲をフルートで演奏するのは難しいと感じたので、どちらかというと日本の童謡や唱歌、ポップスをメインに演奏している。
こんなことをやって、この竹林の新鮮なたけのこを取って、毎日持ち帰ることになった。
「お兄ちゃん、笛の調子はどお? うまくいってる?」
「ああ、ほぼ完成したよ。今日は一緒にやってみようか」
「うん! 楽しみだな〜〜!! なにをうたう?」
「そうだな〜……とりあえず、いつもやってる『赤とんぼ』で試してみよう」
俺とミトはまた、井戸のある中央広場で今日も『赤とんぼ』を歌う。
今日はちょっとスペシャルバージョンで、俺はフルートでミトの歌メロに対し、変わった感じでメロディを付け足してみようと思った。
「おお、今日もはじまんべえよ、ミトとカナデのうた」
「これが毎日の楽しみでね〜」
「これがなきゃ、一日終われねえべ」
「カナデのありゃなんだべ??」
それではと、いつものようにミトが歌い始めた。そして、俺はフルートを吹いた。
「「「「うわああ!!!」」」」




