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第四話 初めての友達と入学式

すいません…投稿遅れました

エントランスホールを抜け、昇降機エリアへ向かう。

ここから教室のある上階へと移動するため、俺は昇降機のボタンを押し、扉が閉まるのを待った。


しかし、その瞬間――


「おっと、危ねぇ! すまん、間に合った!」


慌てた様子の声が飛び込んできたかと思えば、閉まりかけていた扉が開閉し、短髪のスポーツ刈りをした青年が乗り込んできた。

彼は肩で息をつきながら、俺の横へと立つ。


「すまんすまん、助かったわ」


「気にするな」


大したことではないので、今一度閉まるボタンを押す。

今度は誰も割り込むことなく、扉が閉まり、昇降機は上階へと登っていく。


途中、後方から声をかけられた。

この場合、俺以外に話しかけられている者はいない。振り返り、相手を確認する。


「俺はルウ・フォックス。同じ一年生だ。よろしくな!」


彼は明るい笑顔を浮かべながら、気軽に話しかけてきた。


「アルカディア・グラディウスだ」


「アルカディア、か……長ぇな。アルでいいか?」


「好きに呼べばいい」


「おっしゃ、じゃあアルで決まりだな!」


ルウは満足そうに頷くと、さらに気さくに話しかけてくる。


聞けば、同じ東寮に所属するとのことで、つまりは同じクラスでもある。

俺にとって、学園生活で最初に名前を交わした相手がクラスメイトというのは、悪くない出会いだった。


やがて、昇降機は目的の階に到着する。

扉が開くと、先程の広々としたエントランスほどではないが、相変わらず天井が高く、幅のある通路が目の前に広がっていた。


足元には豪奢な絨毯が敷かれ、道なりに進む。


周囲には、新しくできた友人と談笑しながら歩く新入生たちの姿があった。

俺もまた、その一組に属しているのだと思うと、少しだけ気が楽になった。


基本的な情報を開示し合い、お互いのことを認識しながら進むうちに、気がつけば入学式の時刻が迫っていた。

俺とルウは、メインホールへと足を運ぶ。


メインホールは広大だった。

中央まで伸びたステージを囲むように、一階席と二階席が設けられている。


一階席は、規則正しく並べられた個別の座席が多数用意されている。

対して二階席は、個室仕様になっており、明らかに選ばれた者のための空間となっていた。


当然、俺たちは一階席に座る。


ホールはざわめいていたが、二階席に人が入り始めると、その声は次第に小さくなっていった。

やがて完全に静寂が満ちる。


ルウは小声で「退屈だなぁ」と呟く。


確かに、俺もそう思っていた。


だが、この場にいる以上、表に出すわけにはいかない。

それは、周囲の生徒たちも同じであった。


壇上に並ぶ教師や来賓。

式の進行が着々と進み、やがて新入生総代の挨拶へと移る。


その場に立つのは――


セレナ・テオール・ディルランド。


(やはり、彼女か)


彼女はディルランド帝国皇族の一員であり、現皇帝の三女。

さらに言えば、今年度の入試主席として、既に一年生の最優生徒と目されている存在でもあった。


一年生の視線が、一斉に彼女へと注がれる。


圧倒的な緊張感が支配する中、彼女は淡々と、そして明瞭に挨拶を終えた。

最後に静かに頭を下げると、会場は一斉に拍手で包まれる。


滞りなく入学式は終了し、生徒たちはそれぞれの教室へ向かっていく。

俺とルウも、東寮の一年生教室へと向かった。


教室の前には、生徒たちが団らんできる休憩スペースが設けられていた。

そこでは既に、いくつかのグループが談笑し、親交を深めていた。


その場を横切り、教室へ向かおうとした瞬間――


パシンッ!


鈍い音が響く。


次の瞬間、ルウが頭を押さえながら、情けない声を上げた。


「いってぇっ!? 何すんだよ!」


「何すんだじゃないわよ、ルウ。あんたはいつも軽率なのよ」


俺が横を見ると、そこに怒るにしては幼い顔立ちの少女がいた。

肩まで伸びた髪を後ろで結び、腕を組んでルウを睨みつけている。


「いてぇ……お前、手加減しろよ……」


「十分、手加減してるわよ」


投げやりな口調とは裏腹に、その視線にはどこか呆れた色が浮かんでいる。


(なるほど、知人同士か)


そう思いながら様子を見つつ、唯一の友達を奪われた喪失感に襲われる。

しかし、俺の様なひとりぼっちに対して、友人合築を持ちかけてくる、ルウならば他の友人がいる事は当然だろう。


(ところで、ルウとこの女性の後ろの人は誰だ?)


ルウを叱る女性の後ろで、微笑む女性と目が合う。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました

明日は絶対に18:00に投稿、嫌に投稿くらいしてみせます!

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