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活力源はスイーツ

※残酷描写があります。ご注意ください。お口が悪いですが、ご容赦ください。



 やばい奴だった。

 何がって言われてもうまく答えられないけど、完全にやばい奴だ。


 転移魔法で自分のベッドルームに戻った私は、げんなりしながら全身に洗浄魔法をかけた。

 ベッドにダイブして、先程の悪魔とのやり取りを思い返した。


「堅固で面倒くさい奴だと思ったからひとまず認めて、適当にあしらってさっさと終わらせようとしたのに……」


 ──ファンクラブ?神?そんなものは知りませんし聞いていません。はい忘れました。


 ファンクラブも神についても、もはや触れずに耳を塞ぐ。

 知らぬ存ぜぬで、会話の続きを思い返す。


 えーっと、あの長々とした説明を聞いていたけど、……誰のこと?って思ったよ。

 非の打ち所がない人かと思いきや、ご愛敬のところは、うん?文句か?とも思った。


 覗いた記憶からの言葉なら、誰かが私のことをそういう性格って思っているのよね。

 ……あの悪魔がみんなの記憶を見て、どう思ったかの感想とかじゃないよね?


 みんなから『シヴァはエストレラ様に心酔しておられます』なんて聞いていたけど、会ったことないし勘違いでしょう、と思っていた。けど違った、みんなが正しかった。


 まぁ、私が覚えてなかっただけで会ったことがあったみたいだけど。

 庭園で話している時にも強気な感じはしたけど、ここまで押しが強いとは。


 悪魔相手に相互理解をと思ったことが間違いだった。

 人間相手でも難しいのだ。悪魔を理解することは、無理なのだろう。


 私の考えが甘かった。

 いやちがう、甘さが足りなかったのだ!

 今世では夜食なんかしたことなかったから、ビターチョコ3個ならいいかな?って前世の記憶にある睡眠の質を高めるため、と言い訳を重視したから気合が足りなかったのだ。


 少なくとも悪魔の腹チョコ6ピース分、いや、それ以上を食べるべきだった。

 次から敵と戦う前には、しっかり糖分を摂取しておこう。


 ──ん?敵に筋肉チョコなかったり、魔物だったりすることもあるのか……。

 次から気合を入れる時は、その時の気分で食べたい物とかお気に入りとかを食べよう。


 例えホールケーキだったとしても食べて見せる……虫歯なんてクソくらえだ!

 ホールケーキを切り分けずに、そのままフォークで食べる独り占めの食べ方……前世でやってみたいって思っても、結局やらなかったからなぁ。本当に気合入りそうな気がする。

 ふふっ、4号ぐらいならいけるかな?


 ──ここまで、やばい悪魔が近くにいることに現実逃避をしていた訳ではないけど。悪魔がマルバ家にいる目的も理由も全くわからない。

 私が悪魔より強いから、っていう理由が本当なら楽だけどね。油断大敵!


 何にしても、私には精神に影響を与える魔法には耐性があるし、人間の魔法と違いはなく、特殊でないのであればおそらく悪魔の魔法は効かないと思う。

 私に近づくために、私ではなく家族や周囲の人間を攻撃対象にしたことは、悔しいけど効果は抜群だ。


 あの悪魔は、家族にもマルバ家に仕えている人にも、誰一人残さず記憶操作の魔法をかけていた。

 少なくとも、家族と私が生まれる前から仕えている人は16年分の記憶を覗かれ、悪魔が生活を共にしていた記憶も刷り込まれている。


 元通りにしたいけど、魔法はイメージが大事。

 記憶に入り込むことはできるかもしれないけど、プライベートを覗くのは気が引ける。

 どんな魔法をかけたのか詳細がわからない中で手当たり次第に魔法をかければ、脳に悪影響をもたらすのは絶対で、精神にも影響を及ぼす可能性もあるので危険極まりない。


 悪魔がいたという記憶だけを消し去ることができればいいけど、そのイメージだけで成功するかどうかはわからない。危険な賭けだ。

 それ以前に、脳は繊細で一度悪魔から魔法をかけられているうえで、さらに魔法をかけるのはやっぱり負担が大きいと思う。


 魔法を無効化することができれば一番安全だと思う。

 そんな魔道具とか、触れただけで何でも無効化できるような特殊能力とかあればよかったな、と目を逸らしながらも悪魔のことを思い浮かべ改めて考える。


「はぁ、わかんない。いや、わかんなくていいかな。悪魔のことなんてわかりたくない。初日でもう面倒くさい。疲れたー、いやだー。 やっぱり、退職とかを理由にさっさと帰ってもらえばよかったなぁ」


 あちらが何かしなければ何もしないと言ってしまった。

 早くも撤回したくなり後悔しかないが、言ってしまったことは仕方がない。


 枕に顔をうずめながら声を吐き出すことで軽くストレス発散をしながら、今後どうするべきかを考えた。

 結果、同じことが起こらないよう屋敷に結界を張っておくことにした。


 ──不法侵入禁止とか?簡易的過ぎかな。悪魔限定ではなく、悪党に対して全部かな。

 ──敵が攻撃してきたら、眠らせて拘束魔法とか。

 ──危険感知魔法をかけて、檻の中に転移させる魔法とか。


 うーん、それ以前に結界張ったら何か言われるかな。

 相談はできないし、張っても気づかないでいてくれたらいいな。

 隠蔽魔法みたいな?できるかな。


 ──いや、為せば成る、為さねば成らぬ、何事も!気合大事!

 とりあえず張ってみよう。がんばれ、頼みますよチート魔法!


「ふぅ……明日は家族に対してどんな感じかを注視しよう。 うん、今日はもう寝よう。明日の朝ごはんスイーツにしてもらおう。 糖分大事。安全第一」


 結界を張って緊張が解け気力を使い果たした私は、できれば今日のことが夢であってほしい、なんて思いながら眠りについた。

 目を覚ませば王都に行く前の、悪魔などいなかったマルバ家の日常であることを願い、それを肯定するかのように昔の夢を見た。



チョコレートと筋肉好きなエストレラ。

マルバ家にいる騎士さんたちはマッチョです。特に夏場は日焼けしているので、筋肉をチョコレートに例えてはチョコレートが食べたくなります。

上腕二頭筋はトリュフチョコやアーモンドチョコとか。腹筋は板チョコとか。背筋はクランチやチョコ棒とか。etc


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