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崩壊 9

 ウッデルの知っている限りのことを一通り聞いたトーゼツは、頭の中でこの村に起こった出来事を正確に理解できるように整理し、出てくる疑問を集め始める。


 (死神のような鎌を持った男が犯人か……。しかし、何故村を襲った?いいや、聞く限り、理由があって殺すような奴ではなく、殺すことを目的とした奴みたいだからそこら辺の理屈は通用しないよな…)


 快楽殺人鬼、という言葉が可愛く聞こえてくるほどのおぞましいことをやった奴である。


 単独で村をたった一日で崩壊させたのだから。


 だが、この男の殺害方法が謎である。


 (しかし、どうやって殺したんだ?俺とメユーも村の死体を一応、全部確認したが外傷はなかった。刺されたわけじゃないし、出血の痕なんかは無かった。つまり、持っていた鎌で切り殺したわけではないということだ。何かしらの魔術?)


 駄目だ、分からない。


 ある程度、魔術の知識と技術があるとはいえ、彼は術聖なんかではない。中級、上級なんかでそのような魔術があるとは聞いたことが無いが、もしかしたら絶大魔術にあるかもしれない。外傷を生み出さずに相手を殺すといった魔術が。


 (後でメユーに聞いてみるか。だが、一番の謎は俺のことを知っているということだ)


 一体、誰だ?


 俺と接触してくる多くの人間は俺のことを馬鹿にしてきた奴か、慈悲を与えてきた奴らだ。仲良くなるのは大抵、一緒に戦い、俺の実力を知った冒険者か。もしくは―


 「賞金首の誰か?」


 冒険者と聞けば魔物と戦い、一般人を守る。というイメージが高いが、賞金のかかっている極悪犯罪者を捕まえることを生業としている冒険者も少なくはない。


 トーゼツもかつて、何人かの賞金首を捕まえたことがある。


 「……可能性があるとしたらそれぐらいだろうな」


 そうしてある程度、頭の中で整理し終えた所でウッデルがトーゼツに対して言う。


 「なぁ、そろそろ俺の縄を解いてくれないか?」


 「ん?あぁ、そうだな。もう暴れないよな?」


 「さ、さすがにな。まだ心と頭の中はぐちゃぐちゃで、みんな死んでしまったことにとてつもない絶望感はあるが、アンタにその気持ちをぶつけることはしないよ」


 「じゃあ縄を解くが、今後は暴走して俺を攻撃してくるなよな!」


 そのように冗談口調で語りかけながらウッデルを解放する。


 そうしていると、


 「あら?もう目覚めていたのね?」


 ドアをガチャリ、と開けて中に入ってくる一人の女。耳が尖っており、エルフであるということが一目見てウッデルは判断する。


 「彼女はアンタの仲間か?」


 それにトーゼツが答える前に、女エルフの方が先に口を開け、話を始める。


 「ええ、そうよ。私はメユー。彼の相棒、ってとこね。村と周囲の索敵に防御結界の展開が終わったわ。やっぱり、周囲に人はもういないみたい。けど、魔物がかなり活発化しているわ」


 「そうか、でも防御結界を張ってくれているし、死体ばっかりで心地いい気はしないが、魔物の多い森を夜進むのは危険だ。疲れたし、とりあえず今日はここで休もう。そして明日の朝、ウッデルから得た情報をメユーと共有したのちに、次の目的地へ行こう。ウッデル、アンタはどうする?」


 トーゼツ達の方針を聞いたことを踏まえて、ウッデルは発言する。


 「アンタらについていくよ。この村にいても頭がおかしくなりそうになるだけだ。今は何処か、人が多くいる所に行きたい」


 「分かった、それじゃあ、今日はもう寝るとするか」


 そうして、三人はこの崩壊した村の中にある一つの家で、夜を過ごすのであった。

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