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先行き不明 7

 次の攻撃が来る。しかし、ミトラの〈エスターブ〉によってラツィエルは上手く動けず、また思考が乱れているせいで、どうすれば良いのか。その判断が遅れてしまう。


 ぺらぺら、と本を捲り、自分の持つダイモンの能力で防御を行おうとする。が、ミトラの方が速かった。


 「絶大剣術〈グラディウス・プンジェレ〉!」


 狙う箇所は頭一点。


 ミトラは現在、優勢な状況を取れているのは〈エスターブ〉という手札を切ったからだ。それに対し、まだラツィエルの能力が不透明。問答無用でここで殺して終わらせるのが得策だろう。


 しかし、判断が遅れたのにも関わらず、ラツィエルは間一髪でその剣先を避けて、狙っていた頭から逸らすことに成功する。が、さすがに躱し切るのは難しかったようだ。


 ミトラの魔力を纏った剣先がラツィエルの左肩を貫く。


 術を展開していないとはいえ、ラツィエルもまた魔力を身に纏っていた。だが、その纏っていた魔力ごと、左肩を中心に胴体上部が大きく吹き飛ぶ。


 「……ッ!」


 吹き飛んだ胴体上部は肉塊となり、あちこちへ散っていく。血はミトラの放つ〈グラディウス・プンジェレ〉によって霧状となって空中で消えていく。


 仕留めきれなかったミトラはもう一度、今度こそ彼にトドメを刺すため、絶大剣術を放とうとする。


 「絶大剣術〈螺旋煙突らせんえんとつ〉!」


  その詠唱開始と共に、そのミトラが持つ剣を中心に炎が発生。その炎は、紐のように細くなると、まるで、蛇のようにシュルシュルと動き出し、剣にまとわりつく。


 まさに今、三度目の絶大剣術を放つその時、ラツィエルの感覚機能低下も戻り始め、思考が安定してくる。


 「性質はカーディナル、属性は風、形はリーブラ!怒りの如く、吹き荒れよ!!」


 そのラツィエルの詠唱が完了した途端、空気の流れが生まれ、まさに竜巻のような突風はミトラに向かって襲いかかる。風と共に巻き上げられた砂や石といったものが時速何百キロで彼女の皮膚を切り裂き、ダメージを蓄積させていく。


 しかし、すぐにはミトラも負けない。


 炎を巻いた剣で風を抑え込み、少しでも前へ前へと進もうとする。が、とうとうその風に耐えきれず、大きく態勢を崩し、剣術も解けてしまう。


 (このまま押し飛ばすッ!)


 さらにラツィエルは魔力を練り上げ、風の出力を上げていく。どんどん顔や手、脚に傷がついていく。剣を床に刺しこみ、飛ばされないように耐える。のだが、無理に耐えようとしてしまっているが故に、その凄まじい風圧によって骨すらも折れて、内臓にダメージを与えていく。


 それでも、出力は徐々にまだ上がってきている。


 このままではミトラの方が押し負けてしまう。だが、忘れてはいけない。決して彼女は一人で戦っているわけではない。頼もしい魔術師が一人。


 「絶大魔術〈リベリオン〉!」


 その詠唱と同時に、ミトラを中心にドーム型のバリアが展開される。


 

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