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先行き不明 5

 アナーヒターが思うように動けていない。


 水神とも呼ばれていた彼女の術が働かないのは予想外の事だ。しかし、戦いとはそういうもの。


 特にアナーヒターのような魔術師は有名であるが故に、手札がばれてしまっている以上、何かしらの対策されていてもおかしくはなかった。


 (彼女が動けない今、前へ出ないといけないのは私!!)


 そう判断したミトラは剣を突きの構えで持ち直し、すぐさまラツィエルに接近していく。


 「絶大剣術!!」


 詠唱開始と共に、ミトラの剣に魔力が帯びる。


 アナーヒターもすぐさま意識を切り替える。


 自分が戦えなくても、やりようはある。ミトラをサポートすれば良いのだ。というよりも、基本、魔術師は後方支援といった戦い方がセオリー。強すぎるから前で戦っていただけで、そのセオリーに徹していれば、問題はない。


 すぐさま中級、下級レベルの術を無詠唱、無魔法陣で展開。ミトラの身体能力が向上し、魔力量も跳ね上がる。これまでないほど、心地良い。ミトラは改めて、アナーヒターが一流の魔術師だと知る。


 今なら、連続で無詠唱で絶大レベルの剣術が発動出来そうだ。


 だが、ラツィエルはミトラ警戒し、常に視界に入れるようにバックステップで距離取りながら、対抗して詠唱を開始する。


 ペラペラと本が自動的に捲り始める。


 「〈性質はフィゲーレ、属性は土、形はタウルス!我に向けられた脅威を排除せよ!!〉」


 すると周囲の壁が動き出す。まるで意思を持っているかのように。


 そして、ラツィエルを守るようにミトラの前へと壁が出てくる。


 すぐに回避することも出来ず、ガキンッ!と大きく壁と衝突したミトラは大きく仰反る。まるで鋼鉄の壁にぶち当たったかのように、ラツィエルへ向けていた全てのエネルギーが跳ね返り、大きく態勢を崩す。また、詠唱途中だった絶大剣術もキャンセルされる。


 やはり、何が起こっているのか、分からない。


 魔術……に似ているが、明らかに異なる力。魔力を用いながらも、それは決して魔術ではない。


 (魔術同様、ラツィエルの力は詠唱も、展開もある。のにその性質は固有技能の類のモノ!くそッ、戦った事のない存在故に、変に頭がこんがらがる!)


 固有技能に似た力を持った存在には何度か戦ってきた。厄災に、厄災を取り込んだ奴ら……そして固有技能持ちでありベスの部下に何度か手合わせだってしたことある。


 しかし、そのどれにも当てはまらないほどの異質感。


 (とにかく色んな手を使っていくしかないか!!)


 彼女は再び詠唱を開始する。


 「絶大剣術〈ケレリタス〉!」


 ミトラの放つ斬撃が光の如く速さで壁に向かっていく。かなりの威力、スピード。しかし、その壁は傷はついても切断されることはなかった。この城は神代の頃、セレシアに居た神々が建てたとされるモノ。壁が硬いのはきっとラツィエルの能力ではなく、単純に城を構成する煉瓦やコンクリートの硬度なのだろう。

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