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真の課題 4

 しかし、この一撃で勝ったなんて、ローリィは一切思うことはなかった。何せ、相手はあのアナトだ。どんな攻撃であっても一撃で倒せるようなイメージは湧かない。


 そしてやはり、彼女は諦めず、正面から神術〈スヴァローグ・プラーミャ〉を防ごうと試みる。アナトはローリィ同様、神代の遺物(アーティファクト)の槍であるエクシランケの力を使う。魔力が送り込まれたエクシランケを中心に、空間が歪み始める。それはまるで熱くなったコンクリートによって光が歪む陽炎のように、しかしそこに熱量は一切、存在しない。


 前述した通り、この槍はあらゆる負の感情を払ってしまう槍。この歪みはローリィに放たれた攻撃から、ローリィが放出し、宙に舞う魔力。アナトへの敵意から出た全てのエネルギーを感知したことで生まれた空間の歪みである。


 そして、そのままローリィの振り下ろそうとしている剣に向けて、アナトはじこうと右から左へと勢いよく振り払う。


 ガキンッ!と剣と槍はぶつかり合うその瞬間──


 「ッ!!」


 ローリィは困惑する。


 全ての炎がかき消され、どんどん剣が押し戻されていく。だが、よく見ると剣と槍は最初こそ激しくぶつかったモノの、現在は槍と剣は触れ合っていない。それはアナトの魔術だったり、力任せによる押し出しではない。それは磁石が反発し合うように、何か、得体の知れない力によって強制的に押されている。


 そう、これこそエクシランケの力である。それが敵意を持ったモノなら、魔術であれば強制停止させ、物理攻撃であれば、はじく。まさに敵成しの槍である。


 そしてとうとう、ローリィはそのエクシランケの力に抵抗できず、大きく吹っ飛ばされる。しかし、予想外の事態が起こっても、すぐさま意識を切り替え、空中で態勢を立て直し、上手く地面から着地する。


 (何ですか、あの力は……!半ば強制的にはじかれたうえに、術の強制解除。神代の遺物(アーティファクト)の中では最上級の代物ですね)


 だが、これほどの能力を持つ武器。神代の遺物(アーティファクト)とはいえ、破格の性能。何かしらの代償、縛りが必要のはずだ。例えば、魔力の消費が激しい、効果には時間制限がある、などだ。


 このローリィの予想は当たっている。


 全ての敵意の攻撃をはじく、とは言ったが、これには限界がある。槍の想定出力以上の攻撃に対しては、能力を突破する事が可能なのだ。さらに、銃の乱れ撃ち、踏むか分からないトラップ系の魔術と言った偶然性の攻撃は必中になってしまうことだ。


 (槍の能力を解析するには、やはり攻撃し続けて情報を取るしかありませんね。であれば──)


 (ローリィなら、エクシランケの能力を突破する可能性がある。長期戦にもっていかれると、めんどくさくなるな。だったら──)


 二人は再び同時に動き出す。


 ((ひたすら押していく!!))

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