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崩壊 4

 メユーは家の中を見渡し、やはりそこにはつい最近まで生活していた痕跡を感じ取る。


 椅子、テーブルに積もる埃。多少は積もっているが、この量は目測、一週間程度だ。


 そのまま部屋を移動していくと、そこは四つの椅子と真ん中に食卓がある部屋だった。きっと、家の者たちはこの部屋でご飯を食べていたのだろう。また、お皿が食卓の上には並んでいた。その皿には、腐っている肉とパンがあった。


 その蠅が飛び回り、嫌な臭いを漂わせているそれらにメユーは「うっ……」となりながらも、何故、食べ物が腐った状態で食卓に並んでいるのか、と疑問になる。


 「……嫌だけど、一応、見なきゃね」


 そうして、彼女は腐ったパンと肉を観察する。


 どうやら、一部歯形がついている。食べかけのようだ。


 そして、ようやく気が付くが、食事用にナイフやフォークが床に転がっていた。


 「……慌てて食事を中断、した?」


 しかし、何のために?


 彼女は余計、理解できないこの状況、状態に対し、必死に思考して予測を立てようとする。


 「駄目だ、もう少し、家の中を見てみないと……」


 そう言って彼女はその部屋を出て、廊下へと出る。


 その瞬間


 「ッ!!」


 彼女はすぐに駆け出し、廊下の奥にあった二階へと繋がる階段へと駆け上がっていく。


 (この食べ物が腐った以上に嫌な臭いに、湧き出ているこの蛆虫……まさか!!)


 階段を上ってすぐ、そこには―


 「…………」


 死体を見るのには慣れている。だからこそ、恐怖はなく、怖気づくこともなかった。


 ただ、そこに真っ白な虫に囲まれた死体に対し、どうして……なぜ!?と疑問だけを頭の中でひたすら反復させていた。



 一方、トーゼツの方では……。


 「うわああああああああああああああ!」


 「ちぃッ!落ち着け!!」


 剣を大きく振り回し、こちらに向かってくる男と対峙していた。


 「なんなんだ、このおっさん!」


 明らかに錯乱している、正常ではない。


 (殺意はないし、敵意、悪意もない。ただ、本当に錯乱状態のようだな。精神系の魔術か?まぁ、どっちにせよ放置は出来ないし、襲ってくる以上、止めるしかないな)


 と思考すると同時に、この騒ぎに対して誰も来ないことにも気づく。


 (他の村民も、このおっさんみたいに錯乱状態になって何処か行ってしまったのか?それとも、家に隠れ籠っているとか?うーん、メユーも来てくれないし……)


 ぶん!ぶんぶん!と空気を切り裂きながら刃を暴れさせているその男の攻撃を軽く避けていく。それは、トーゼツが戦闘慣れしているからなのかもしれないが、それ以上にこの男の動きがあまりにも稚拙であったからである。


 この男が錯乱状態でまともな戦闘行動が出来ないからなのか。それとも、戦いの経験が少ないからなのか。だが、意識を奪うのであれば、容易そうだ。


 「おら!」


 拳で手首を殴り、剣を落とさせる。


 「おらおらァ!」


 そうして攻撃手段を失ったところで、トーゼツは勢いよく腹部を二回、素早く蹴り上げる。


 「ァッ!!」


 その男は倒れ、あっけなく気絶する。


 「ふぅー、危なかった。起きたらどうなるか、分からんな。縛っておくか」


 そうしてトーゼツは持っていたロープで男を縛り上げるのであった。

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