崩壊 3
トーゼツとメユーの視界に広がるは、まずは畑であった。
誰かの所有地、というよりかは村全体で管理しているものなのだろう。
事前の聞いている情報だと、村の人数は七十人はいるという。畑の広さからして七十人とは言わないが、その半分である三十人ほどであれば生きていけるほどの食物は育てられそうであった。
もちろん、畑以外にも食べ物となるものはなるだろう。今は見えないが、牛や豚などの家畜に、リンゴやブドウと言った果物を育てている場合も予想出来る。
そして二人は畑を通り、その奥へと進む。
そこには、いくつかの家屋、建造物が見え、そこに村民が住んでいるのだろう。
だが、二人は奇妙な雰囲気を感じ取る。
「……妙に静かだな」
トーゼツは聞き耳を立てながら、そのように言う。
また、メユーは畑の様子を見て、またもや奇妙な事に気づく。
「畑の野菜、全部枯れてるみたいね」
村全体で管理しているであろう畑のものが、全部枯れている?
そんな事、あるだろうか?
生きていく上で必須であろう食物が、枯れているとなるとかなりの大問題だ。
獣に荒らされ、食われてしまったことはまだしょうがないかもしれないが、枯れているとなると育て方、管理の仕方に問題があるということになる。そんな大変な事が起こっているのは妙である。
「とりあえず、近くの家を訪ねてみるか」
そうして、トーゼツは軽く走り、近くの家のドアをノックする。
「すいませーん、誰か居ますか?」
……。
…………。
コンコン、と繰り返しノックする。が、やはり返事はない。
「空き家ってことか?」
メユーも、向かいの家へと訪ねてみるが、そっちも返事はなかった。
だが、よく見てみると、この家が空き家ではないことぐらい分かる。
というのも窓から家の中を覗く限り、かなり綺麗であるからだ。家具はそのまま。窓の隅にはそんなに埃も溜まっていない。もし空き家であれば、数センチぐらいは埃があってもおかしくはない。
また玄関も同様だ。しっかり掃除されたようである。
「どういうことかしら?」
彼女はドアノブへと手をかけ、試しに開くかどうか、確認する。
「ッ!」
それは、ゆっくりと、彼女の腕の動きに合わせて、開く。
「鍵が…かかっていない?」
不用心……というわけではない。
明らかな、異常事態。
「中に入ってみるのか?」
メユーの居る向かいの家を訪ねていたはずのトーゼツは、いつの間にかメユーの背後におり、そのように質問するのであった。
「まぁね、村全体に人がいる気配はない。かと言って、廃村のようでもないし、この違和感の正体が何か分かるかもしれないし、少し見てみるわ」
「じゃあ、俺は先に村の中心の方を探索してみる」
「オッケー、了解」
そうして、トーゼツはもっと村の中へと、メユーは家の中へと入っていく。




