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攻城 4

 アナトの姿を見てメイガス・ユニオンの魔術師たちは圧倒される。いいや、味方の冒険者連合の者たちも圧倒されている。個人が、これほどの魔術を、単独で、発動させている。


 しかも、命を賭して行っているわけではない。代償があるわけではない。死ぬわけでもない。ただ、複数人で行わなければ出来ないレベルの魔法陣を魔力で空中に描き、複数人の大量の魔力量を使わないと発動出来ない魔術を一人の魔力で展開しているだけ。


 だからこそ、畏敬の念を持つ。


 まさにそれは神に祈るように──


 「これでぶち抜いてやるよッ!!」


 魔法陣から現れたのは、巨大な雷。


 凄まじい勢いと力で空気を裂き、雷鳴を轟かせながらバリアへと衝突する。


 そして、とうとうヒビが完全に割れ、結界に穴が開く。


 「良し、それでは雪崩れ込むぞ!!」


 そういって結界を超えていくアナトに、ついていくようにメイガス・ユニオンへと侵攻していく冒険者たち。そこへメイガス・ユニオンの兵士たちが前へ出て、抑え込もうとしている。


 「魔術を展開しただけでもスゲェのに、無詠唱かよ。化け物以上すぎるな」


 「今更でしょ?ほら、私たちも行くわよ」


 さらに驚かされていたベスに、アナーヒターが反応しながらも結界に開いた穴へと向かっていく。


 「人数も、地の利もこちらにある!開いた穴だって小さい!!怯まずに戦え!!押し返すぞ!!」


 メイガス・ユニオンも負けじと前へ出て、乱戦へと発展する。


 しかし──


 「おいおい、私と戦いたい者はいないのか?」


 アナトの前には誰も出ない。


 あれほどの術を行える相手……しかも、彼女は弓聖、術聖、槍聖の三つの取得している多職者。手数も、技術も、魔力量も……彼女に並ぶ者はこの場にいない。


 故に、止めないといけないと分かっていても、彼女と戦いたい者なぞいるわけがない。


 「嫌われたモノだな。これでもビジュアルには自信があるんだけどな……」


 「……確かに、悪魔みてぇな恐ろしいビジュアルだな」


 アナトの言葉に、ベスは聞こえない声量でツッコミを入れる。


 「まっ、良いか!来ないなら、こっちから行くぞ!!」


 押し出さないといけない。というのに、アナトに対しては多くの兵士たちが逃げまどっていく。


 その最中、冒険者連合の魔術師はメイガス・ユニオンの結界の穴をさらに開けるために。また、侵入口を増やすために第二攻撃を行おうとしていた。


 「一班、二班はさらに魔力による結界の強化を!残りの班は急いで修復を行え!!」


 後方に控えていたメイガス・ユニオンの部隊もまた魔力を生成、結界へとすぐに流し込む。


 しかし、どんどん雪崩れ込む冒険者を抑え込めなくなっていく。いったん下がり、部隊を立て直そうとするが、そのような時間すら与えない。アナトを筆頭に四大聖の職を持つ冒険者が前へ前へと進む。

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