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攻城 2

 メイガス・ユニオンの魔術師たちは狼狽え、混乱する。一部の者たちは逃げようとするモノもいた。が、やはりこの場の指揮を任されているであろう隊長格の魔術師は迷わず、すぐさま命令を行う。


 「怯むな、下がるな!ここが破られれば乱戦だ!逃げたところで結局、変わらねぇ。ここで死ぬか、城内で死ぬだ!死にたくなければ、バリアの補強を行え!ここを死守するぞ!!」


 その叫びで我に帰った周囲の兵士たちはすぐさま杖を持ち直し、バリアに向けて魔力を送り始める。


 (しかし、我々の展開している結界にダメージを与えるとはな……)


 メイガス・ユニオンの展開していたこのバリアは絶大級……いいや、神術に近いレベルの術式であった。複数の防御術式を組み合わせ、そこへさらに強度補強、硬度上昇の術式を展開、付与を行う。それをメイガス・ユニオン本部にいる兵士たちの魔力を吸い上げて発動させていた。


 魔術学の点で言えば、それは絶大級の術式だ。その中でも、ただ魔術に魔術を重ねた、魔力効率の悪い術式。だが、その結界の硬度、効果だけを見れば神術さえ超えている。


 そんな結界に冒険者連合の魔術はヒビを入れた…………。


 (一体、どれほどの術式を使ったんだ?)


 それは兵士として、ではない。メイガス・ユニオンに所属する魔術師として──魔術を研究する者としての深い疑問であった。


 「「トゥルヴァ指揮官!」」


 頭の中で深い疑問を思考しているその最中、男女二人の兵士がトゥルヴァ指揮官と呼ばれた隊長格へと駆け寄っていた。


 「来たか、さすがは元セレシア軍所属だな、エスゥトゥレス、ヌルノォヴァ」


 「当然であります!」


 ヌルノヴォと呼ばれた男が敬礼しながらそのように言う。


 それに対し、エスゥトゥレスと呼ばれた女はすぐさま指示を仰ぐ。


 「この状況下、我々の部隊はどのように動けばよろしいでしょうか?」


 「まず、結界に穴が開くのは確定だろうな。もうヒビが入ってしまった。今から補強しても間に合わん。とはいえ、穴が開く程度。完全破壊されてしまうわけじゃない。このままバリアを維持しながら、補強、修復を行う。それと同時に侵入してくる冒険者を抑え、押し出す。これしかあるまい。エスゥトゥレス部隊は補強、修復を、ヌルノォヴォ部隊は侵入してくる冒険者の対処を頼む」


 「「了解!!」」


 そう言って二人は自分の持ち場へとすぐに戻っていく。


 「さて……そこのお前」


 トゥルヴァは近くにいた兵士に声をかける。


 その兵士も杖を持って、バリアに向けて魔力を向け、補修していた。が、戦場において、どんな事情があっても上官である彼の方が優先であり、杖を下ろす。


 「本部へ戻り、強行突破されている事を伝令してくれ」


 「はっ!」


 そうして命令した兵士もまた、走って自分の任を達成しに向かう。


 「さて、やるべき事はやった。あとは自分の全力を尽くすだけだな」


 そうしてトゥルヴァもまた歩き出す。


 侵入してこようとしている冒険者の軍勢に対して──

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