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崩壊 2

 トーゼツは腕を振り、両手に持った剣に付着した血を払って取ろうとする。もちろん、それで完全に付いている血が飛ぶわけではない。だが、ある程度で充分だ。


 「コイツらの気配だったか。鳥系統の魔獣は珍しくはないが……しかし、いきなりだったなぁ」


 魔獣にも、酒類によっては知能に差がある。今回、襲ってきたものは、鳥の中でも、さらに賢い鷹タイプの魔獣であった。ゆえに、この二羽も一目見て勝てないと分かっていただろうに。


 だからこそ、二人は不思議でしょうがなかった。


 なぜ、どうして、いきなり、こんな所でトーゼツ達に襲い掛かってきたのか。


 そして、この感覚に不安を感じる。つい最近もこんな出来事があったような……。


 「まだ厄災の影響が続いているのかしら……?」


 メユーはそのようにつぶやく。


 それが原因だとすれば納得がいく。


 厄災の狂気に飲まれた生物は、その元凶である厄災を倒した所で元に戻ることはない。普通の生命も魔獣化し、人は廃人へと至る。再び普通の日常を送ることは許されない。


 きっと、この鷹の魔獣は、刃の厄災の狂気に飲まれてしまったのだろう。


 こればっかりは、どうしようも出来ない。


 「厄災は討伐したけど、まだ多くの狂気に飲まれたものが生き残ってしまってるだろうな。こりゃあ、セイヘンばかりか、周辺諸国に一年ぐらいの影響は続くかもな」


 なんて言いながら、再び指輪に魔力を送り込み、空間に出来た穴に双剣を放り投げるトーゼツであった。


 「こうなると、向かってる小さな村もなんだか心配だな」


 もしかしたら、魔獣に襲われてかなりの被害が出ている可能性が高い。また、冒険綾であるトーゼツ達に魔獣討伐の依頼もしてくるかもしれない。


 「もしかしてだけど、トーゼツ……ボランティアにするつもり?」


 何かを察知したメユーはそのように尋ねる。


 何度も言うようで悪いが、向かっている村は小規模だ。報酬依頼を払えるほどの裕福な村であるとは到底、思えない。


 だが、トーゼツがそれを断るほど薄情ではなく、また人を助けるためならタダ働きも悪くはないという思考の持ち主だ。


 だが、相棒のメユーはそうではない。


 やはり、こっちも戦い、必死に依頼をこなすのだ。対等とはいかずとも、ある程度の報酬は受け取りたいものだ。


 「…………」


 「おい、なんか答えろよ!!!」


 図星だったのか、トーゼツはメユーの言葉に無言を貫く。


 「ま、なぁ……?良い…じゃん?だって、さ?ほら……」


 「駄目だね!こっちだって、今後の旅の資金だって必要だし、依頼されるなら、少しだけでも良いから報酬は貰うよ!!」


 「……はぁい」


 出来る事なら、見返りなしで人を助けたい。だが、こちらも社会の枠組みで生きている以上、金銭は必ず必要であり、生き物である以上、寝食は必須である。


 やりたいことを、タダではできない。現実は無常である。


 そのように話し、考えている間に目的地である村は目の前であった。

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