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破滅 19

 サルワはトーゼツのその姿を見て驚く。


 かつて支配の厄災とした戦った時も……神都に侵攻した時も……トーゼツの実力はまだここまではなかった。成長したと言えば、そうなのかもしれないが──


 (神都侵攻からまだ一ヶ月程度しか経ってないぞ……!その一ヶ月でここまで仕上げたのか!?)


 その成長速度はまさにサルワを超えている。


 ここでサルワはようやく認識する。


 トーゼツ・サンキライはただの敵ではない。


 将来、最も巨大な障害として聳え立つ存在になる可能性を秘めている者である、と。


 「ここで確実に殺す!!」


 サルワはさらに自身のエネルギーを鎖へと変化、そのままトーゼツに向けて発射する。その鎖は生きた触手のような動きで、まるで体の一部のように自由自在に操作し、トーゼツを翻弄する動きで彼に襲いかかる。のだが──


 「っらァ!!」


 折っていく刃の破片を掴み、魔力を纏ってその鎖たちをいとも簡単に斬り壊していく。


 「こんなもんかよ、厄災ってのはよォ!!」


 トーゼツはさらに握ったその破片をサルワに向けて思いっきり投擲する。ザシュッ!とサルワの頬を掠り、ツーと血が垂れ落ちる。しかし、その傷跡はすぐに修復し、垂れていた血も蒸発していく。


 (生半可な権能じゃあ勝てないな。能力の手数じゃあ私の方が圧倒的上だが、小手先で勝てる相手でもなさそうだ。だが、調和神アフラとの戦いでそれなりに魔力も、厄災のエネルギーも消費してしまった)


 これまでサルワはあらゆる戦いの場面を自分が成長できる場面だと考え、新たに手に入れた厄災の権能や、成長させたい部分をより全面的に出して戦っていた。故に慣れない戦い方や、少し変わった戦い方になっていたのだが……今はそのような戦い方をすれば負ける。


 他の権能はサポートで使い、メインでは慣れた支配の権能だけでいくとしよう。そのように判断すると、生み出した鎖も生えていた刃も、全てがエネルギーに戻り、サルワへと帰っていく。


 「おっ?どうした、諦めるのか?」


 「いいや、もう少し、本気で戦おうと思ってな!!!!」


 サルワはセプターを構え、周囲にある、ありとあらゆるモノを支配し、操作を始める。


 まずトーゼツ周辺の重力の向きを変更する。


 「ッ!!!」


 先ほどまでは上から来る圧に耐えるだけで良かった。が、いきなり重力の向きが逆に天へ向かい始め、身体が恐ろしいほど軽く感じ始める。それだけではない。宙へと浮かび、どんどん上へ上へと身体が引っ張られテイク。それを必死に脚で踏ん張り、地上へと頑張って残ろうとする。


 「今度はこうだッ!」


 次にサルワは空気中を流動体のように舞う酸素や二酸化炭素、窒素と言ったモノの動きを操作し、まるで竜巻かのような突風を生み出す。


 これほどの突風でも本来のトーゼツであればなんともなかったはずだ。


 そう、重力が下へ向かっている本来にトーゼツであれば。


 「マジかよッ!」


 ぶわり、と風船のように完全に空中へ舞い、どんどん上へ上へと吹き上げられていく。

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