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破滅 7

 調和神アフラは反撃のタイミングを窺うが、全く見つからない。無限のように来るエネルギー弾。避けることに必死で、思考を巡らせていると動きが鈍くなり、攻撃が当たりそうになる。


 「おッ……と!!」


 無差別のエネルギー弾の猛攻によって、でこぼこになった地面に足を引っ掛けて転びそうになる。が、ギリギリの所で体勢を保ち、そのままエネルギー弾を躱わすように大地を駆けていく。


 「周囲すら確認する余裕が私にないってことですかね」


 早く、この状況をどうにかしなければ。


 あまり使いたくなかったが、仕方ない。ここは神術〈ブンダヒシュン〉使う。今の状態であれば、アルウェスと戦っていた時よりも高い出力を出せるはず。


 だが、世界を創り変えるこの術がトーゼツにどのような影響をもたらすか、分からない。もしかしたら、固有技能である『不屈の魂』に変化が起きるかもしれない。


 しかし、もうこの状況を打開するには〈ブンダヒシュン〉しかあるまい。


 調和神アフラは立ち止まり、魔力、想いの力……自身の使えるエネルギー全てに意識を向ける。その間にも襲いかかってくるエネルギー弾をレヴァレ・ケルムで薙ぎ払いながら、術の構築を開始する。


 調和神アフラの扱うエネルギーが大地、空、空間へと染み込んでいき、この世界に在る万物が震撼する。ゴゴゴッ!とそれはまるで地震のように……しかし、明らかに異なっているその揺れに世界が耐えきれなくなったのか、パキ、とガラスが割れるようにヒビが入る。


 暴走中のトーゼツも一体、何が起こっているのか。分からなかったが、調和神アフラが起こしているモノであり、早く止めなければ……_!それだけは理解していた。


 「なニを……シヨうと、してイる!?止メェ、ろォォォ!!!!!!」


 トーゼツは目の前に魔法陣を展開すると、そこにありったけのエネルギーを送り込み、発射する。それは先ほどのような弾丸ではなく、止まることなく撃ち続けられるまさにレーザーのようであった。


 このエネルギー光線に一体、どれほどの熱量があるのか。空気中の水分が一瞬にして蒸発し、白い煙のような姿で現れる。また、光線周囲の空間が熱によってひどく歪んで見える。


 まさにそれは一万度近くの熱量はあるだろう。


 だが、その光線すらもレヴァレ・ケルムは打ち消していく。いいや、それだけではない。光線の一部をなんとトーゼツの方へと弾き返し、反撃するではないか。


 「ッ!!」


 自身の光線が胴体を貫き、大きな風穴が開き、止めどなく血が溢れ出る。


 無論、この程度でトーゼツは死ぬ事はあっても、倒れることはない。ぐちゃり、と穴の空いた周辺の肉が蠢き始め、傷穴を塞いでいく。それはまさに不気味で、彼が人ではないナニカに見え始める。


 「ぐっ、ソがァ!!!!」


 諦めず、またもや魔法陣を展開し、攻撃しようとするが、もう遅い。


 調和神アフラは静かに、詠唱をする。


 「神術〈ブンダヒシュン〉」


 その瞬間、トーゼツと調和神アフラの周囲の景色が……世界そのものが、大きく変わってく。


 

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