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内の覚醒 24

 調和神アフラが具現化した武器が一体、何なのか。トーゼツには分からない。しかし、警戒することもなく魔布をピザでも回すかのようにくるくると器用に回しながら、その遠心力を利用し、調和神アフラへ向けて攻撃を再開する。


 トーゼツの使っている武器も、神具まではいかないとはいえ、現代の魔術学では説明の出来ない、神代の遺物(アーティファクト)。劣ってはいるが、負ける道理にはならない。


 実際、調和神アフラの具現化した槍であるレヴァレ・ケルムの出力は本来の十パーも出ていないだろう。


 しかし──


 「はぁッ!!」


 声を入れて、全力で槍を襲いかかる魔布を薙ぎ払おうと振るう。


 もしも、そこら辺でも取り扱っている槍であれば、トーゼツの魔布に押し負けてしまうだろう。だが、魔布とレヴァレ・ケルムが衝突したその瞬間、魔布の方が大きく引き裂かれ、破れていく。


 ファールジュの攻撃をはじき、調和神アフラを大きく吹っ飛ばしたあの魔布がいとも簡単に……。


 「なニッ!?」


 トーゼツは困惑する。


 やはり、どんな状態でも人というのは想定していない事が起こると戸惑い、怯み、思考が停止してしまうのだろう。次の一手が出ない、調和神アフラが行うはずであろう追撃への対応が思いつかない。


 そこに問答無用でさらにレヴァレ・ケルムをトーゼツに向けて斬り払う。


 ザシュッ!とトーゼツの胴体が大きく引き裂かれ、払われた衝撃で後方四、五メートル下がっていく。


 「ッ、あァ、ォ!!」


 肉までしか裂けていないと思ったが、一部内蔵にまで槍先が到達していたようだ。逆流した血液が口から一気に吐き出されていく。


 「どウやっテ……俺二傷を…………!?」


 彼は莫大なエネルギーを纏っていた。無論、今の暴走しているトーゼツでは想いの力を自由自在に操作出来ているわけではない。無尽蔵に放っているだけ。とはいえ、それはトーゼツの肉体を中心に発生しているわけで、無意識ながらもそれは鎧のような役割を果たしていたはずだった。


 しかし、そのエネルギーの鎧さえ突破してトーゼツに肉体に傷をつけた。


 「ありエなイ……この、おレに…アフラ如きがァ!!!!!!!!」


 怒りと共にさらにトーゼツは魔力に想いの力、自分の使えるモノ全てを体内から外部へと放出する。それは時速数百キロという突風を生み出し、空間を振動させ、世界に凄まじい衝撃を与えていく。周囲の建物や舗装された地面が破壊され、調和神アフラにもそれは襲いかかる。


 しかし、彼女は全く微動だにせずそこで立っていた。一部、吹っ飛ばされた瓦礫なども彼女へと向かってくるが、レヴァレ・ケルムで軽く払っていく。


 「さて、私の攻撃が効いてくれtらのは良かった。あとはここからどう詰めていくかですね」


 「おレは自由に……理想ノタメに!!!」


 冷静に状況を見極めている調和神アフラと、暴走しながらも理想のために貪欲に戦おうとするトーゼツ。結末の見えない勝負へと、さらに激化していくのであった。

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