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内の覚醒 22

 調和神アフラは神の力を両手に纏い、攻撃態勢を取る。


 「ここは私の力でトーゼツを拘束するとしましょう」


 とはいえ、このままトーゼツを中心として渦巻くエネルギーの中へと飛び込めば、無事で済まないだろう。そもそも、なぜこのような状況になったのか。一体、彼の精神内部で何が起こっているのか。理解するために観察する所から始めた。


 (意識は……あるようですね。でも、無事とはいえる状況ではなさそう。この膨大なエネルギーを維持、管理する事が出来なくなって暴走しているだけ?いいや、そうは思えない……)


 本当に何が起こっているのだろうか。


 調和神アフラの知識を持ってなお、理解出来ない。


 無論、最高神として世界中から信仰を集め、神々の頂点に立っていたとはいえ、アフラは万能の存在ではない。想いの力に関しても『どのようなエネルギーで、何が出来るのか。何処からやってきている力なのか』、それをなんとなく理解している程度だ。


 「これ以上、分からない事を考えても仕方ない、か」


 一歩、あらゆるモノを吹き飛ばす竜巻のように渦巻くエネルギーの中へと彼女は踏み込む。


 その時だった。


 「調ワ神、アふラ」


 トーゼツはつぶやく。


 いいや、違う。


 トーゼツの中にいる何かが、彼の口を通してアフラへと述べる。


 「ッ!!」


 気づいたときには、調和神アフラは吹っ飛んでいた。時速数百キロで、後方へと。彼女に凄まじい重力の圧が伸し掛かる。一般人であれば内臓が文字通り、ひっくり返っていることだろう。そのままいくつも都市の建物、壁、あらゆるモノを破壊しながらどんどん吹っ飛ばされていく。


 しかし、彼女も大幅な弱体化しているとはいえ、最高神の一柱。


 空中で腰や腕を捻り、上手く着地し、態勢を整える。


 「何が、起きて──!!」


 トーゼツのいるであろう方向を見上げる。


 実際に測ったわけではないので分からない。しかし感覚的には数十キロ……下手したら百キロ以上の距離は飛ばされたはずだ。その距離を詰めようものなら、それなりの時間はかかるはず。


 しかし、もう目の前に彼が居た。


 ボンッ!と調和神アフラに強い衝撃が奔る。彼女に襲い掛かったモノ、それは一枚の布切れ。ファールジュと戦っている際に用いていた魔布まふであった。それに魔力と莫大な想いの力を流し込み、彼女に向かって大きく振りはらったのだ。


 撮り直した態勢を大きく崩しながら、ズザザッ!と地面と足裏を擦らせてノックバックされていく。


 「おま、おま、オマエ如きデ……俺はトメられない」


 トーゼツはゆっくりと、自分で飛ばした調和神アフラとの距離を詰め始める。


 「俺ハお前の計画ノ歯車じャない。理ソウの自分ヘト至るタめに……」


 まさか……そんな事がありえるのか。


 「俺ノチカらは……俺のタメに」


 こんな事起こり得るのか。


 「リ想の自分を掴むたメに…………!」


 ゆっくりと近づいていた動きとは打って変わって、凄まじいラッシュの打撃を調和神アフラへと打ち込む。

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