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内の覚醒 12

 距離を詰めようとする天玉仙帝に向かって、サルワの放った鎖がジャラジャラと音を鳴らしながら鞭のように襲いかかってくる。


 普通の鎖であれば、これを真正面から受け止めていただろう。いいや、受け止めるほどでもないかもしれない。魔力で具現化した鎖とはいえ、きっと当たった所でダメージなど一切入らないのだから、無視していた可能性もある。


 だが、今回は違う。


 あの鎖……魔力以外の気配を感じる。


 そうだ、あれは──


 思考を巡らせているうちにいくつモノ鎖が天玉仙帝へと接近していた。それを上手く躱し、避けていく。のだが、その避けた直前を狙ってサルワは新たな鎖を具現化、容赦なく放つ。さすがに避けきれない。そう判断した天玉仙帝は拳に纏わせていた力を腕全体にまで広げ、その鎖から身を守ろうとする。


 「ッ!!」


 案の定、ただの鎖ではなかったようだ。


 腕に触れた瞬間、巨大な鉄球でもぶつかってきたかのような衝撃が体に襲いかかる。しかも、ぶつかってからもその威力は次第に増していく。これが一体何の厄災の力なのか、分からない。しかし、話は聞いていたが、これまた予想以上にサルワは吸収していった他の厄災の能力も使いこなせるほどに成長しているようだ。


 とうとう耐えきれなくなった天玉仙帝は態勢を大きく崩し、倒れそうになる。


 そこを狙って、さらに鎖を放つ。


 だが、このままサルワの思うままに押されていく天玉仙帝ではない。


 両手に集めた力を勢いよく周囲に発散させ、詠唱する。


 「仙通絶せんつうぜつ!!」


 天玉仙帝を中心に広がっていくその力は、向かってくる鎖とぶつかり、大きくはじく。まさにどんな攻撃でも防いでしまいそうなそのパワー。これだけで十分な防御力だ。しかし、そこからさらにエネルギーが鎖を呑み込み、消滅させていく。防御と破壊を持ち合わせたその術は、サルワも圧倒されるモノであった。


 「はははッ、厄災の力さえも呑み込んでしまうとはな!だったら、これでどうだ!!」


 再びサルワは鎖を具現化させる。しかし、先ほどの鎖とは決定的に異なる部分があった。それは鎖の先に槍先のような刃がついているという点だ。彼女は再びその鎖を天玉仙帝に向けて放出する。


 また同じ手か、芸が無いな。なんて天玉仙帝は思いながらも、本当に同じ手か?サルワも馬鹿ではない。何かしら細工をしている可能性もあるな、と警戒しながら鎖を対処しようとする。


 また仙通絶を使っても良いのだが、あれはそれなりのエネルギーを消費する。無論二、三回発動発動した程度で枯渇するほど天玉仙帝が生成出来るエネルギー量は少なくはない。しかし、まだまだサルワは厄災の力を隠している。どれほど戦闘が長引くか、まだ分からない。


 であれば──


 「流水如払りゅうすいにょふつ!」


 天玉仙帝の両腕はまるで流れる水のように滑らかな動きで、鎖を受け流していく。

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