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内の覚醒 11

 サルワのセプターと天玉仙帝の掌がぶつかったその瞬間──


 「ッ!!」


 サルワは苦痛の表情へと至る。


 お互い、尋常ではない魔力を込め、凄まじい威力を放っていたのだろう。だからこそ、ぶつかった反動もまた、耐え切れるほどのモノではなく、サルワのセプターを通して、腕へと衝撃が襲いかかる。


 それに対し、天玉仙帝はなんともないようだ。余裕の表情で、一切の怯みもない。逆に今以上に力を掌に送り込み、どんどんセプターを押し返していく。


 「化け物、か!?」


 とうとう耐えきれなくなったサルワはぐんッ!と後方へと吹っ飛ばされる。が、すぐさま支配の力で重力場を支配し、上手く地面に着地する。


 「ほう?面白い術を使うんだな」


 支配の力というのがどのようなモノなのか、その眼で確認した天玉仙帝はとても興味深く感じると同時に警戒の色を強くする。


 (『重力』というより『重力場』を支配しているな)


 この違いはとても重要だ。


 物理学には『場』という概念がある。


 先ほどから言っている重力場、電磁が発生する電磁場、エネルギーが作用する力場など……色々と存在している。が、ここで重要なのは、『場』というのはそれらが存在出来る場所という意味なのだ。


 重力場があるから、重力が発生出来る。電磁場があるから、電磁が発生する。もしも、この場が存在出来なくなれば、それらは存在出来なくなる。


 (もしも、物質場や魔力場なども支配し、書き換える事が出来るというのならば──)


 いいや、流石にそこまで能力の支配域は高くないはずだろう。


 しかし、可能性は視野に入れておくべきだ。


 「少し遊ぶつもりだったが……」


 拳により力を込め、再びダンッ!と地面を蹴り上げてサルワとの距離を一気に詰める。


 サルワを一目見て理解した。コイツは神獣ギタブル・へティト以上の実力者だと。だからこそ、本気の拳にも耐えてくれるだろう。ギタブル・へティト以上に面白い戦いをしてくれるだろうと思っていた。しかし、予想以上に支配の権能が強すぎる。しかも、これでまだ成長過程というのが恐ろしいところだ。ここで確実に仕留めなければ、誰も奴を止められなくなるだろう。


 「ここで確実に殺す!!」


 天玉仙帝は拳を一気に放つ。


 「破重掌はじゅうしょう!!」


 距離を詰めたとはいえ、まだまだ拳がサルワまで届かない。十メートルほどの距離がある。しかし、拳から放たれたその衝撃は空間を伝ってサルワへと到達する。しかし、その衝撃はサルワは避けていくように散っていき、壁や地面と言ったあらぬ方向へとぶつかっていく。


 「エネルギーの向きを操ったか?ならば、次は直接、叩き込む!」


 また一歩、地面を蹴り上げ、十メートルほどの距離を詰めようとする。


 「恐ろしい威力だな。だったらこちらも負けてられん!!」


 サルワは魔力を放出すると、その魔力をまるで粘土でも捏ねくるように操り、最終的に複数の鎖を具現化させる。そして、まるで自身の体の一部のように鎖を自在に操り、天玉仙帝へと攻撃を開始する。

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