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内の覚醒 6

 何かが起こっている、そのように感じた少女は目を離した肉へと興味を戻す。


 その肉は血液の循環を再開し、脳が身体中の神経へと命令を送り始める。


 細胞の再生能力が異常なほど活発になり始め、身体中の傷がもう塞がっていく。細胞がどんどん分裂し、切れた筋肉繊維が繋がり、臓器が元通りになっていく。


 「なンだ、これは──」


 こんなモノ、知らない。


 少女の中にある常識ではありえない事が起こり始めている。


 そう、これはトーゼツの固有技能……『不屈の魂』の発動であった。


 そして、とうとう──


 「ッはぁ!!」


 口が開き、呼吸を始める。瞼が開き、意識を取り戻したトーゼツは素早く立ち上がり、落とした剣を拾うとすぐさま脚に力を入れ、少女との距離を詰める。


 「絶大剣術!!」


 剣に凄まじい魔力が纏い、今にも少女に襲い掛かろうとしている。


 一体、何が起こっているのか。どうして死体が蘇ったのか。目の前で起こった事象に対し、理解出来なかった少女は咄嗟のトーゼツの行動に思考が鈍り、反応が出来なかった。


 そして、彼は剣を振り上げ、叫ぶ。


 「〈裂滅一閃れつめついっせん〉!」


 力強く振り下ろされたその刃に対し、遅れながらも少女は短剣に魔力を送り、構えて防御しようする。


 しかし、トーゼツの放ったモノは絶大級の剣術。


 少女の魔力は一瞬で霧散し、氷の短剣はあっという間に粉々に砕けていく。剣は少女へと到達し、一刀両断せんと肉を斬り割いていく。


 剣の威力はトーゼツの予想以上の威力だったようだ。剣が放った魔力が少女の後方にあった都市の建物に凍った大地、街を彷徨う魔獣と化した者たち全てを吹き飛ばしていく。


 「……ッ、はァ!!」


 しかし、復活直後にすぐさま絶大剣術を打ち込み、魔力を大量消費したその肉体的負荷が大きく、一気にトーゼツに疲労感が襲いかかる。


 しかし、倒れることはない。


 先ほど、死んだ苦しみに比べればこの程度──


 その時だった。


 「ッ!!」


 トーゼツの腹部に再び痛みが奔る。冷たく、鋭い痛みが。


 「まだ……おわラない!」


 そこには血まみれの少女が立っていた。彼女は小さな氷の破片をトーゼツの腹に突き刺していた。


 反撃してきたというものの、彼女の胴体に巨大な傷ができていた。本来であれば、臓器や血液が垂れ出て死んでもおかしくはない。しかし、傷口を凍らせることで応急処置をすることに成功していた。


 とはいえ、。それでもなおトーゼツの放った〈烈滅一閃(れつめついっせん)〉に耐えて反撃しているのだから、彼女の気概というか、根性は凄まじいモノだ。


 だが、トーゼツだって諦めの悪さは負けていない。


 再び剣を振り上げ、無詠唱、無魔法陣で下級レベルの剣術と魔術を発動させる。下級レベルでも二つの術を掛け合わせることで上級レベルに届く火力が出るはずだ。

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