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襲撃 8

 イルゼは最初、向かってくる水の球体を拳で対処しようと考えていた。はじく事ぐらいなら用意に出来るだろう、と。しかし、近づくにつれ、何か嫌な予感を感じたイルゼは拳の構えを解き、咄嗟に避けていく。


 水の球体はイルゼの居た地面へと着弾すると、その場所がボンッ!と強く爆発する。


 「ッ、ははは、どうなってんだよ!」


 水が爆発?


 ありえない。


 しかし、目の前で起こっている事を否定する事はできない。このワンウーという男が放った水の球体はナニカに触れると爆発する。それさえ分かっていれば充分だ。


 (初見で見破られるとはな……)


 ワンウーは内心、驚いていた。


 水の球体は、ただ周囲の水分を凝縮して生み出しただけのモノだ。しかし、ただ凝縮して当てるだけでは大したダメージが与えられない。そこで彼は外周の水だけを固定し、中の水を高速回転させていたのだ。もしもそれに触れれば、外部からの衝撃で固定された外周の水は簡単にはじけ、中の高速回転している水によってイルゼの両腕がズタズタになっていただろう。


 しかし、それを見抜いてイルゼは避けた。


 いいや、別に見抜いたわけではないのかもしれない。


 それはきっと勘。しかし、一見、根拠のないモノでもそれは決して侮れない。技術や経験、身に着けた知識から無意識のうちに何かを察知することを勘というのだ。


 「まぁ、良い。手応えの無い相手をしても楽しくないからな!!」


 ワンウーはさらに空気中の水分を操作し、新たな水の球体をイルゼに向けて放っていく。それに対し、イルゼは脚に魔力を送り、その水の球体よりも速いスピードで地面を駆け抜け、ワンウーの攻撃をいとも簡単に避けていく。


 大地に着弾する水の球体はどんどん爆発していく。それによってあちこちの地面に穴が開き、デコボコの足場の悪い環境へと変化していく。


 「ちぃッ!鬱陶しい!!」


 ワンウーはさらに球体を作るだけではなく、集めた水分を勢いよく噴射させ始める。それはまさに水圧のカッター。光線のように真っすぐ空間を進み、目の前にある物質をいとも簡単に切り裂いていく。


 「ッ!!!」


 まさに、その水圧カッターは音速並み。見切るだけでも大変だというのに、それを避けるというのは至難の業だ。しかし、イルゼはその水圧カッターをスレスレで避けてみせる。


 だが、それだけでは終わらない。


 水圧カッターはイルゼを目標として移動をし始める。


 「はははッ!」


 イルゼは高らかに笑いながら、避け続ける。それは常にギリギリで、髪の毛や皮膚が切れ、少し肉が斬り落とされたりもするのだが、それでも致命傷を負うことはなく、戦闘に支障が出ない程度の負傷しか負うことがなかった。


 (魔力で肉体能力向上させているからと言って、ここまで避けるか!?化け物レベルだな!)


 そのように思いながらも、ワンウーは攻撃をし続ける。


 攻撃が当たらない。が、同時にイルゼは反撃する余裕もないようで、避けるのに集中している。


 いずれ攻撃を続ければ、必ず倒せるはずだ。


 「このまま押し切る!!」


 ワンウーはさらに水による攻撃を加速させていく。

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