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戦争開始 14

 ベスに一つの魔力弾が当たる。


 その魔力弾は程度の低い戦士であれば、肉体を貫通するだろう。着弾する位置が悪ければ内臓がやられ、致命傷を負うのも考えられる。しかし、戦争に参加している冒険者の多くはギルド本部から来た上澄の戦士。その中でも上位に位置するベスほどの実力者であれば、魔力を身に纏うだけで魔力弾の貫通力を無効化することが出来る。


 しかし、貫通力と衝撃力は別物だ。真正面からその魔力弾を受け止めたからこそ、その魔力弾の着弾時に発生した衝撃がベスの体を痺れさせる。


 「ちぃッ!」


 それでも彼もまたいくつもの戦場を超えて来た戦士。すぐさま意識を切り替え、体を動かそうとするが次の瞬間には、新たに放たれた魔術がベスに向かってきていた。


 次は炎の球だ。


 気づけばベスの体は真っ赤に燃え上がり、強い熱が皮膚を焼こうとしてくる。


 無論、これも魔力の膜のみで無効化、耐えきって見せる。


 しかし、またもや次の瞬間にはベスに新たな攻撃が向かっていた。


 (くそッ、復帰時間をくれないってわけか……!!!)


 今度は雷撃であった。


 バチバチバチィ!と激しい音が響き、焦げ臭い匂いが周囲を漂う。


 身体は痺れ、態勢を保つことが出来ずに足が崩れ、座り込む。


 「うざってェなァ!!」


 死ぬわけではない。痛いわけでもない。しかし、身体の自由が効かない。復帰が出来ない。このもどかしい気持ちが心に溜まり、怒りがふつふつと沸いてくる。


 だが、ベスに攻撃が集中していたからこそ、後ろからついてきていた他の冒険者たちの多くが既に前線へと駆け上がる事に成功していた。


 「他にも来ているぞ!早く儀式までの時間を稼げ!!!」


 その号令と共にベス以外にも侵攻してきている冒険者たちにも魔術攻撃が向けられいく。


 その間にも儀式魔術を発動させようとしている魔術師たちは魔法陣へと魔力を送り込み、発動まであと一歩のところまで持ってきてた。


 ベスは足止めを喰らっている。ほかの冒険者もまた同様に攻撃されて進めずにいる。後方から上がってきているアナーヒターは確実に間に合わない。アナトは砲撃部隊の殲滅に力を入れている。


 ならば、ここで動ける者は──


 「私が止める!!」


 ベスの横を素早く追い抜き、魔術による猛攻の最中、真っすぐ突き進んでいくのは剣聖ミトラであった。無論、魔術師たちは彼女も止めるため攻撃を始める。しかし、ミトラは剣を構え、その刃で向かってくる攻撃全てをはじいていく。


 「くそッ、あの女を止め──」


 ミトラを倒すために命令を下そうとしていた司令官らしき魔術師の喉に突如として矢が突き刺さる。


 「くッ、あァ!!」


 「大丈夫ですか!?」


 司令官を治癒魔法で助けようと部下らしき者がその司令官に近づくが、その彼もまた矢で頭を撃ち抜かれ、即死してしまう。


 「わしらもやられるだけじゃないのよ」


 そう言って弓を構えて敵を狙うのは弓聖ウェルベス・コットロルであった。


 「早く行きな、ミトラお嬢!!」


 そうして彼はまさにプロの手つきで次々と魔術師たちを撃ち抜いていく。

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