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決着 2

 アナーヒターが防御魔術を展開終了した瞬間に、刃の厄災も剣を降り下ろし、自分の技を発動させる。


 「〈エスターブ〉!」


 刃から放たれる漆黒の斬撃。


 それは、ミトラが一度、目の当たりにして戦いに諦めてしまった一撃であった。


 だが、彼女は今度こそ、諦めない。


 ドンッ!と強い衝撃がミトラに襲い掛かる。


 攻撃はまだ当たっていない。アナーヒターの発動させている防御魔術のおかげである。


 まるでかげろうのように空気を歪ませている魔力は、〈エスターブ〉を掻き乱し、逸らしている。しかし、逸らし方は決して綺麗なものではなく、まるで乱反射させているかのようだ。


 だが、確実にミトラの事を守ってくれている。それでもなお、防御魔術越しに伝わる迫力、衝撃は凄まじいものであり、油断すると吹っ飛ばされそうだ。


 「負ける……わけには…いかない!」


 ミトラも魔力を練り出し、アナーヒターが展開する魔術へとその魔力を送り込む。


 (ほんの少し。足しになっているかも分からないけど、しないよりマシでしょ!!)


 絶え間なくこちらへ襲いかかる漆黒の斬撃をどんどん乱反射させていく。しかし―


 「くゥッ!」


 その防御魔術を押しのけながら無理やり侵攻していく〈エスターブ〉。押し負けないように、こちらも多くの魔力を送り、〈フィジェト・ダンサー〉を維持する。しかし、こちらの魔力がひたすらにありえないほどのスピードで削がれていくように感じた。


 より力強く押し出しされていく。その結果、最初は〈エスターブ〉を十メートほどの距離から防いでいたが、今はミトラの目の前にまで迫ってきていた。


 「—っ!」


 魔力はまだ微量だがある。術の維持も可能だ。


 だが、パワーと余力が圧倒的に違いすぎる。


 「諦めて、たまるか!」


 ミトラは、叫ぶ。


 「諦めて……たまるかァァァァァァァァァ!!!!!!!」


 その心の底からの、魂の咆哮。


 「そうだよな。諦めきれないよな」


 そこに、一つの声。


 もう、聞くことも無いと思っていた声。


 自分の愚かさによって、失ってしまったはずの声。


 しかし、それは大きな希望であった。


 「だったら、手を貸すぜ!!」


 ミトラの背中が何者かの手によって支えられる。と同時に、手を介して彼女に魔力が送り込まれる。


 「俺の魔力量、半分をやるよ!」


 その瞬間、体に魔力が巡り、安心感や、充足感が一気にミトラへと押し寄せる。


 「何ィ!?」


 刃の厄災は驚く。


 先ほどまで、自分が押していたはずだ。


 なのに、なのに!


 今では、押されている!?


 「う、うおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 厄災も、更なる魔力で押し返そうとする。


 しかし、形成は逆転する。


 〈エスターブ〉は完全に押し返され、発動していた厄災自身が喰らってしまう。


 「なん…だとォォォォォォォ!」


 彼の体は自分の放った強い力に押し飲まれてしまう。

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