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戦争開始 11

 世界各国でラジオ放送され、アナトやトーゼツのようにマイペースの者を除いて現場でも次第に緊張が増していく。そうこうしているうちに戦争まであと一分を切っていく。


 アナトとベスも先ほどまで軽い取っ組み合いをしていたと思えないほどの態度で待機しており、まだかまだかと何度も懐中時計へと目を移す。


 「そろそろだな」


 残り十五秒。


 アナトは懐中時計を懐へと入れ、指輪の力で空間に穴を開けるとそこから一本の槍を取り出す。ベスも腰にある鞘から剣を取り出し、刃に魔力を流し込む。


 残り、五秒。


 戦争開始、その指定した時間まですぐそこだ。


 三……二……一。


 「お前らァ、行くぞォ!」


 アナトの叫びと同時に一斉にセレシアへと傾れ込んでいく冒険者たち。


 「来るぞ、用意!」


 隊長らしき人物の掛け声に合わせて、カノン砲周囲に待機していた魔術師たちが砲台に魔力を流し込む。すると、キュイーン!と工学的な音が響き、熱を持ち始める。


 「発射!」

 

 そうして、それぞれ設置されていたカノン砲から凄まじい熱、威力を持った魔力弾が次々に発射されていく。それらは問答無用で前線の冒険者たちに襲いかかる。


 しかし、冒険者ギルドも何も対策していないわけではない。


 「後方部隊、構え!」


 ギルドの方でも後方で待機していた魔術部隊が杖を構え、巨大なバリアを上空に展開する。そのバリアと魔力弾が強くぶつかり、そして魔力弾の方が砕けていく。


 やはり、複数人の魔術師によって生み出された魔力弾。それはとてつもない出力、測りきれない熱量、そして魔術を知らない素人でも分かる破壊力を持っおり、バリアで砕けた際の衝撃が周囲に散っていく。


 「ッ!!」


 多くの冒険者がその衝撃で態勢を崩し、また地震でも起こっているかのように大地が振動する。


 「止まるな、進み続けろ!」


 誰かは分からない。そんなの確認する余裕もない。だが、その言葉に従い、冒険者たちは再び動き出す。


 「このまま発射し続けろ!あの程度のバリアなぞ、破壊してくれる!」


 メイガス・ユニオンの砲撃も止まる事なく、常に撃ち続けられていく。


 それだけではない。始まる前から掘っていた塹壕からたくさんの魔術が放たれていく。炎に電撃、魔力弾と言ったあらゆる魔術が飛び交う。冒険者たちは魔力を身に纏うことで最低限、防御の形を取るが、その魔力の膜を超えて魔術の攻撃が襲い掛かる。


 「ッァ!!」


 「ぐッ!!」


 あちこちから悲痛の声があがる。パチパチと身体が焼けこげる音、脚や腕が欠損する者、また明らかに助からないと思えるような負傷の者もいた。


 しかし、その猛攻を突破して塹壕の中へ飛び出す者たちがちらほら現れる。


 「これを喰らっておけ!!」


 一人の冒険者が手りゅう弾を塹壕の中へとぶち込む。そして数秒後、その穴から一気に赤い血と肉塊が飛び出し、周囲に散らしていく。

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