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決着

 ミトラと刃の厄災は激しい攻防はまだ続いていた。


 ミトラは体のあらゆる箇所に斬り傷が出来ており、絶え間なく血が流れ出る。


 しかし、刃の厄災も、鎧は穴だらけ。体からは謎の黒い液体がこぼれ出ており、肉体治癒も、魔力による鎧の再生も間に合っていなかった。


 「っりゃァ!」


 ミトラは厄災の頭に向けて勢いよく剣を降り下ろす。


 それを姿勢を低くして躱す刃の厄災。しかし、肉体に当たらなかったものの、兜を剣がかすり、そこに新たな穴を開けていく。


 お互い、ボロボロの状態だ。


 だが……。


 「はぁ、はぁ!」


 ミトラは息を荒くさせ、脚はふらふら。剣先も揺れている。


 それに対し、厄災も「ふしゅー。ふしゅー!」と獣のような荒い呼吸ではあるが、彼女のようにふらついていない。剣も両手でしっかり握っている。


 「どうやら、限界が近いのはお前らのようだな……」


 その発言に、舌を動かすどころか、反応してあげる気力さえ沸かないミトラであった。


 また、アナーヒターも魔術は継続して発動させている。が、体に力が入らず、魔術の杖を頼りに体を立たせているのに近い状態であった。魔力も既に本来の量は使い切ってしまっている。今、残っている魔力は杖の効果で増幅させたものと、事前に魔鉱石に貯め込んでいた予備の魔力である。


 (魔力消費を抑えるために、魔術を四つにまで少なくして、治癒と痛覚遮断は必須で……)


 明らかに思考力が下がっており、もうこれ以上、何も考えきれなくなっていた。魔術の発動も、ほぼ意識外。本能と呼ぶに近い力で発動している状態だった。


 「では、終わらせるとしよう!!」


 刃の厄災は左手に持った剣を魔力へと戻し、もう一本の右手に持った剣へと送る。そこから剣を振り上げ、詠唱を始める。


 「我は刃の厄災。剣を恐る想いから生まれた悪魔。その恐怖を、その身に刻め!」


 剣に集中する魔力は、黒く光り、周囲を闇に染める。


 (奴の……最大火力技が来るのか…!)


 ミトラは構える。


 彼女の目は決して諦めていない。厄災を真正面から見ており、冷静に分析していた。


 (次の一撃で終わらせようと全ての残っている魔力を使用するつもりだな。だったら、これだえ凌げば、魔力ゼロになった厄災を叩けば―!)


 そのように思考し、判断するミトラ。


 しかし、もう目の前の出来事さえも判断しきれなくなっているアナーヒターの目は、ボーっとしていた。だからこそ、彼女は叫び、アナーヒターに命令する。


 「アナーヒター!全発動中の魔術を中断してから今、発動可能な魔術の中で最高硬度の防御魔術を!」


 「…ぁ、あぁ、分かった!」


 朦朧としている中、ミトラの言葉を聞いたアナーヒターが、すぐさま全ての魔法陣に魔力を流し込めるのを止めると同時に、魔法陣も消えていく。


 そこから、一つの大きな魔法陣はアナーヒターの前に出現し、そこに再度、魔力を流し込み始める。


 「それは向かう事象を焦燥させ、躍らせる!」


 彼女の詠唱と共に、ミトラを中心に魔力が巡りだす。目には見えない。しかし、それはかげろうのように、空気を炎に揺らす。


 「絶大魔術〈フィジェト・ダンサー〉!」

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