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対等 2

 死人が生き返るなど、本来であればありえない事象。魔術であっても不可能な話である。しかし、現にその魔訶不可思議な事象が発生していた。


 それは彼自身、把握していない要因によって起こったものであった。


 それは、『スキル』。別名、固有技能と呼ばれるもの。


 魔術とは、魂から生成したエネルギーである魔力を、魔法陣を経由して別のエネルギーへ変換させることで、炎を生み出したり、爆発させたり、周囲を凍らせ、電気を作り出す技術である。


 そんな魔術も、最初から使えたわけではない。人類が二足歩行を学習したように、道具を扱えるようになり、火を起こせるようになったりするように、魔術も発見し、自分たちでも使えるようになりたかったからこそ生まれた技術、学問である。


 その魔術の原点となったものが固有技能。


 知識と技術さえ身に着ければ使える魔術とは違い、固有技能は生来からのものであり、才能がどうとかの次元を超えたもの。持っていないものが一生使えないが、持っているものは、手足を動かすように当たり前に行使可能な力である。


 そして、固有技能は持ち主によって能力が異なっている。


 トーゼツの固有技能は『不屈の魂』。


 それは、古今東西の固有技能の中で異常なもの。


 彼が歩みを止めず、諦めない限り、その肉体が死ぬことはなく、魂が散ることはない。また、精神の底から溢れるその感情を、一時的に魔力へと変換させるというもの。


 これは死ぬことが前提に発動する能力。そのため、これまでトーゼツがこの能力を発動させたことはなく、また死ぬまで自覚することのない力であるため、自分が固有技能持ちであることも認識していなかった。発動の最中である現在も、自分の体に起こっていることに理解していなかった。


 だが、この能力を神々は見抜いていた。ゆえに、神々はトーゼツに職を与えなかった。


 職を与えられなかったトーゼツを、全ての人間が『才能がないから』と判断していた。しかし、そうではなかったのだ。


 トーゼツは、戦士としての才能を全て持ち合わせている人間であり、剣聖にも、槍聖にも、弓聖にも、術聖にもなり得た戦闘の天才であった。


 ゆえに、神々はトーゼツを対等と認めた。


 祝福というのは、神が人へと賜るもの。つまり、結局の所、神より弱い存在と思っているからこそ、彼らは人へ祝福を与えるのだ。


 しかし、トーゼツは違う。神と同等の力を持つ者、対等の存在だと認められたからこその、職を与えられなかったのだ。


 トーゼツは人々に愛されなかった。


 だが、彼はそれ以上に、神々に愛されていた。



 心臓の鼓動はさらに加速し、体中に血液を巡らせる。それにより脳の思考も正常化していき、意識も徐々に夢から現実へと引っ張り出されていく。


 死んだ彼は、再び歩き出す。


 ひたすらに諦めないというその感情を抱きながら、前へと向かっていく。

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