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戦争準備 

 次の日……。


 「──そういう事があったのか」


 宿屋で待機していたトーゼツはアナーヒターに昨日、どういう事が起こったのか。そして最終的にどうのような結果になったのか、と経緯を話していた。


 「当初の目的だったアイギパーンの救出出来たのは僥倖だったな。それで彼は今、何処に?」


 その質問にすぐさまアナーヒターが答える。


 「今は冒険者ギルドの一室に寝かせているよ。ミトラも一緒にいるわ。もうかなり死にかけの状態で──というか、死んでいると言っても良いかもね。だから地元の治癒魔術が使える冒険者をかき集めて延命治療を行っているところ。昨日、本部に連絡を入れたから今日か、明日にはエイルが来るから今は彼女を待つしかないわ」


 なるほど、エイルか。彼女であれば、脳がぐちゃぐちゃになっても、心臓を抜かれても、どんな状況の死体でも生きた細胞さえ残っていれば完全復活させられる。まさに医神と呼ぶにふさわしい実力を持つ術聖のエイルが来るのであれば安心だ。


 「んじゃあ、ローリィとハニエルは?」


 「さぁね。とりあえずセレシアに帰っていったけど……まぁ、戦争に発展する事はまず無いと思う。ローリィはともかく、ハニエルの死亡だけで国民感情が大きく揺れ動くことはないででしょうし」


 これまで、長い人間の歴史の中。国民感情を抑えきれず、内乱へ発展したり、戦争して滅亡へと向かった例をそう少なく無い。まだどのようにハニエルの死が転がるのかは分からないが、今はまだ安心してよさそうだ。


 世界全体が大きく混乱しているこの状況だからこそ、一度の戦争によってまるでドミノ倒しのように滅亡へと向かう可能性がある。それだけは回避しなければ。


 「しかし、アニがハニエルを殺さなければこんな不安も無かったんだがな」


 とトーゼツが呟いたその瞬間


 「呼んだかーい!!」


 そのように返事が聞こえてくるのは仙国の首都、コーゲンミョウラクの風景が見える窓。そこに突如、顔を貼り付けて現れるアニであった。


 「呼んで無ェ!!」


 「あっ、そうですか。んじゃあ」


 そう言って、まるで鳥……というよりかは風船のようにふわりふわりと空中を舞いながら退屈そうに何処かへとアニは去っていく。


 「あいつはジッとしてられないのか!?」


 「私たちの常識外の存在に、私たちの常識を期待する方が間違ってるのかもね」


 うん、ここはアナーヒターの言う通りかもしれない。これからはアニの事は人の形だけをした奇想天外、驚天動地の化け物とでも思って接した方が良いのかも知れない。


 そう思っている時、外で退屈そうにしていたアニがあるモノを視認する。


 「おっ、あれがエイルを連れた冒険者チーム──」


 そこで、彼女はエイル以外の者を見る。


 「おやおや、忙しいはずの彼女がどうしてここにいるのかな〜。こりゃあ、楽しくなりそうだ」


 そのように言うアニの視線の先には、トーゼツの姉であり、最強の冒険者。神代の終末者とも呼ばれているアナト・サンキライがいた。

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