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刃の厄災 19

 あんなに動けているため、分からなかった。だが、刃の厄災の状態を見て今、ようやく確実に追い込んでいる。追いつめている。と分かったミトラは、今度こそ剣を引き抜き、追撃を行う。


 「上級剣術〈瞬時断絶〉!」


 それは、素早く、胴体に十字の斬り込みを入れようとする。しかし―


 「ふん!」


 何度も言うようで悪いが、刃の厄災には痛覚などは存在しない。つまり、痛みによる怯みなどはなく、体がどうなろうと、可能な限りは動き続ける化け物である。


 斬りかかろうとするミトラよりも先に、奴の剣撃がミトラに入る。


 「ッ!」


 それは、大した威力ではなかった。


 いや、中堅の冒険者であれば、必殺の一撃であっただろう。しかし、上級者程度の冒険者であれば真正面から受けても防御可能なものであった。


 しかし、自分が有利であると思っていたからこそ、ミトラはその攻撃を防御することも出来ず、また攻撃されたことにも気づかず、その一撃をしっかり入ってしまうのであった。


 ミトラが攻撃を受けたと気づいたときには、地面を転がっていた。そして、数秒後、ようやく動きが止まり、何が起こったか。冷静に分析しながら立ち上がろうとする。


 「何が、起こって……うゥ。あ、ォ!」


 しかし、相当なダメージを受けてしまったのか。ミトラもまた、口から勢いよく血を吹き出す。


 転がったことで、何度も地面に叩きつけられた影響か。全身が痛い。


 「ッ!」


 また、転がったのとは別の……ベクトルが違う痛みが右腕の付け根からするため、左手で触ってみると、温かいものが。目の前まで左手を持ってきて改めて視認する。


 彼女の手のひらには、血がべったりと付着していた。


 腕の付け根には、肉が割かれ、骨が見えていた。


 (腕の付け根、その半径ほど切断されている。もう少し、本気の一撃を入れられていたら、腕がさよならしていたわね……)


 それは、とにかくミトラの追撃を阻止するための咄嗟の反撃であったことから、威力は控えめ。


 狙った場所も、頭や首、心臓と言った人の急所ではなかった。とりあえず当たれば良いと放ったものであったことから、戦闘継続に問題はなかった。


 だが、それもアナーヒターのおかげでもある。


 (痛覚遮断して貰ってなかったら、悶え苦しんで動けていなかったわね)


 何も問題がないように腕は動き、痛みもない。だが、目に映る情報は、とんでもない怪我を負っていると教えてくれている。だが、痛くない。


 それが違和感で、人間ではなくなってしまったかのようにも感じるのであった。


 (奴を追い詰めているのは確実だけど……。私達もだいぶ限界みたいだな)


 アナーヒターの方を見てみると、彼女は鼻から血が出ていた。魔術の併用に連続使用、無詠唱。脳にかかる負荷はとんでもなはずだ。


 また、魔力量馬鹿にならないほど消費している。


 「お互い、満身創痍のようだな」


 この短い間、肉体治癒へ意識を集中させていたようだ。胴体に剣を貫通させて開けた穴がなくなっていた。


 また、鎧に開いた穴も、魔力を練り上げ、具現化させて徐々に塞げていく。


 厄災と、二人の戦士は睨み合う。


 双方、限界。だが、決して引かない。諦めたりはしない。


 どちらが勝つか、まだ分からない。しかし、その決着はもうすぐそこまでやってきていた。

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