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ダイモン 40

 ハニエルは地面に伸ばしていた影を、まるで自分の身を守るように一気に足元へと集約させる。そして泥のような影の中からいくつもの魔獣や化け物が現れる。


 それは狼系の魔獣に、トーゼツの時にも出した獅子の魔獣にカニバル・ワーム。それだけではなく、スライムや精霊と言った下級魔物も影の中から這い上がってくる。


 「出し惜しみはしねェ。テメェは時間と空間を超えて世界を渡れる存在。それはこの世界において正真正銘、人智外の化け物だ。だからこそ、本気で殺す!!」


 何十匹ものカニバル・ワームがまるで一つの意思を持った生き物のように、一斉に動き出しアニに向かって喰いかかる。だが──


 「この程度なら触れずとも、ね」


 手を前にかざし、空を捻り潰すように拳を握る。その瞬間、カニバル・ワーム達全てが、同時に潰れる。それはまるでくしゃくしゃのように丸めた紙のように。


 だが、影の中からは無限大のようにカニバル・ワームは出てくる。


 それだけではない。


 狼系の魔獣が既にアニの背後へと回っており、大きく口を開けて勢いよく飛びかかる。しかし──


 「それも意味ないよ」


 彼女は左手で握り拳を作り、まるではえでも叩き落とすように殴りかかる。それだけで狼系の魔獣は肉塊へとなって、バラバラになって地面に落ちていく。


 だが、まだ敵の猛攻は終わらない。


 足元にはスライムがいた。


 捕食対象を取り込むための酸を吐き出しながら、アニへと擦り寄っていく。


 「汚いなぁ、散れ」


 そういうだけで、スライムはジュッ!と熱で蒸発する音と共に蒸気となって、最後には跡形もなくなってしまう。


 「まだまだァ!!」


 影から更なる量の魔物たちが投入されていく。


 しかし、一切戦況は変わらない。アニは触れることなく、魔物たちがアニに到達することもなく、ただ血と臓物だけが散って影へと戻っていく。


 「くそッ、数じゃあ勝てないのか!!だったら──」


 ハニエルは魔物の投入数を変えずに、しかし新たな使い魔を召喚する。


 それは自分の分身であった。


 しかし、それと同時に鼻から勢いよく血が噴き出る。


 使い魔には大きく分けて二つある。


 一つは魂ごと自分の影の中に取り込んだ使い魔と、自分が一から作り出す使い魔だ。


 一から作り出す使い魔は自身の魂を分けて作るうえ、自律した思考を持てない。もちろん、自動操作オートにも出来るのだが、複雑な動きは出来ない。一応、人間の脳の構造を勉強して正確に再現しているのだが、やはり何かしらの不具合が起こっているのか、感情もなければ、相手の動きすら予測出来ない。


 それに対し、取り込んだ使い魔は死んでも、魂が影の中に戻ればもう一度簡単に召喚する事が出来るうえ複雑な思考もある程度出来る。と言っても、元が魔物、魔獣であるため人レベルの思考は不可能なのだが。


 そして、これまでは取り込んだ使い魔だけで戦っていたため、脳への負担が少なかった。だが、自分の分身レベルになればどれほど負担がかかるのか。それはハニエル自身でも計り知れない。

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