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ダイモン 32

 このままトドメを刺すことは出来ない。そのように判断したシリウスは後ろへ飛び退き、大きく距離を取ると、冷静に拳銃をリロードし始める。


 両目を撃ち抜かれ、視界が見えてないからか。もう既に攻撃が当たらない範囲まで下がっているというのにハニエルの分身は杖を振り回し続けている。


 (このまま拳銃で……攻撃し続けても、良いけど…)


 頭を撃っても、心臓を撃っても死なない。出血多量……で死ぬとも思えない。頭を吹っ飛ばしたり、胴体を引き裂く事が出来れば死ぬかもしれないのだが──


 弾丸は貫通力はある。だが、破壊力はない。


 「いいや、あそこを狙えば!」


 シリウスはリロードを終えると、素早く拳銃を振ってシリンダーを入れると銃口をハニエルの分身へと向ける。その狙いの位置は……!


 (首に刺さったままの……ナイフ!!)


 いつも以上に魔力を込められた弾丸はより強く、真っすぐ空間を進み、振り回されている杖の間を潜り抜けてナイフへと到達する。


 ガンッ!とナイフにぶつかり、刃が肉を裂いて前へと進む。


 「ッうゥ!」


 「一撃、じゃ……やっぱり無理、か!」


 シリウスは更に魔力を弾丸に込め、構えなおす。


 シリウスが何をしようとしているのか、それを理解した分身は杖を振り回すのを止め、ナイフを抜こうと首元へと手を伸ばすが、そこに間髪入れず弾丸を撃ち込む。


 より魔力によって威力の底上げがされたおかげか、 伸ばした手が弾丸に少し触れただけで、すぐに肉塊へと成り崩れていく。そして弾丸は最終的にナイフへと到達し、より刃が肉に食い込んでいく。


 視界は見えない。杖を持つ手も崩れた。もう、ハニエルの分身に抵抗する手段は無くなってしまった。それでもなお、諦めることはなく、ボロボロの体を走らせる。目が潰れているため、シリウスの正確な位置は掴めていないはずだ。それでも、弾丸の向かっている方向から何処にいるのかを予測して走り出していた。


 そこにシリウスは問答無用で弾丸を撃ち込んでいく。


 三発目、四発目とナイフに当たり、それでもハニエルの分身は止まらない。


 だが、とうとう──


 「終わり、だ!!!」


 もう目の前、シリウスまであと一歩のところだった。六発目、シリンダーに残った最後の弾丸がナイフに直撃したその瞬間、そのナイフは首を完全に切り裂き、頭と胴体を引き離す。


 首からは噴水のように血が流れ出し、頭はまるでサッカーボールのように地面に落ちる。その血飛沫はシリウスにも降りかかり、周囲に嫌な鉄と肉の匂いが漂ってくる。


 しばらくは首が無くなっても体は倒れず、そこにいたが、数十秒後には黒く変色し始め、影へと戻っていく。シリウスにかかったはずの血飛沫もいつのまにか消えていた。残ったのは、首を切断したナイフだけであった。


 「……危なかった、な」


 シリウスはナイフを取り、懐に戻すのであった。

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