ダイモン 21
ここは、何処だ?
そこはトーゼツの見たことあるような、ないような……思い出せない。
ベッドで寝ているようで、このまま眠りの世界へと戻るには良い環境であった。が、それを許さないかのように体中が痛みに襲われる。
そしてだんだん意識が覚醒し、思い出す。ここは昨日、宿泊するために取った部屋であると。そして自分の身に何が起こったのか。前まで何をしていたのかを。
トーゼツはベッドから跳ね上がる。
「そうだ、アイツは──!」
そうして立ち上がり、部屋から出ようとしたその時、ガチャリと出ようとしたドアが先に開き、入ってくる一人の女。それはトーゼツの知っている相手であった。
「ダメよ、その傷で動くのは」
「俺を助けてくれたのはミトラだったか」
「えぇ、なんだか路地裏の方が騒がしいと思ってね。それで興味惹かれて入ったらアンタがいるからびっくりよ。?アナーヒターもいないし、私が魔物狩りの任務を受けている間、何をアンタはしていたのよ?」
そのように言われたため、トーゼツが全てを話す。
ローリィと遭遇したのちに、アイギパーンをメイガス・ユニオンが始末しようとしているという話を聞いた。そしてアナーヒターとトーゼツはアイギパーンを保護するために動き始めた。そうして別々に捜索を初めてから、あのエルフの少年と接敵し、戦う事になった──
「なるほどね、それであんな場所に居たのね。それにあのエルフの少年はメイガス・ユニオンのメンバー……確かに潜入作戦の時に会ったあのエルフの男と一緒だった……」
ミトラは思い出す。
メイガス・ユニオンの中央区、魔術記録保管室で殺してしまったあの男……あれに似ていた。
まさか、生きていたということか?
いいや、あの傷で無事だったとは思えない。
それでも──
(この世界にはエイルのように、死人を蘇らせるレベルの治癒魔術を使える術師もいる。もしかしたらメイガス・ユニオン内部にもそのレベルの治癒術師が?)
可能性はゼロではない。
「こればっかりは答えは出ない、か。まぁ、とりあえず状況は理解したし、私もアイギパーン捜索を手伝うわ。トーゼツの傷を治すためにアナーヒターもここに呼んでおかないといけないしね」
「あぁ、助かる。だが、メイガス・ユニオンの動きも気になる。俺もジッとは──」
「馬鹿じゃないの?」
ベットから立ちあがろうとするトーゼツを邪魔するようにべシッ!とデコピンをお見舞いする。
「痛っ!お前こそ、怪我人にするような事じゃないだろ!?」
「すぐに動こうとするアンタなら、その程度、大丈夫でしょ?ったく、怪我人はそのまま寝ておきな。それに、もしもう一度、あのエルフの男に遭遇した時、どうするつもりなのよ」
「た、確かに……」
そうしてトーゼツは大人しくベッドで寝ておくことになり、ミトラはアイギパーンを捜索しながらアナーヒターと合流するために部屋から出ていくのであった。




