ダイモン 7
シャルチフは懐からファイルを取り出し、書類を取り出す。そして一枚ずつ取り出し確認すると、六人に素早くテーブルに書類を滑らせて的確に渡していく。
ローリィは自分に配られたその書類を一目見て何の書類なのか理解する。というか、よく見慣れているモノであった。それは、メイガス・ユニオンの任務依頼書であった。軽くざっと流し読みしながら周囲の反応を見回す。が、どうやら全員、異なる任務を言い渡されているようだ。
「さて、では私が君たち、ダイモンを招集した理由はある程度、察しているだろう?神都崩壊によって世界は大きく揺れている。我々も同様だ。冒険者ギルド連合は大きくダメージを受けた。時代が変わろうとしている。そんな今だからこそ大きく動き、メイガス・ユニオン──いいや、我が国セレシアを大国から超大国へと押し上げる!しかし、神都崩壊その影響は我々にも広がっている。実力の無い雑魚が動いても時代の流れに揉まれて生き残る事は出来ない。ゆえに魔術研究によってダイモンに成った君たちに動いてもらう」
シャルチフは演説のようにたんたんと、しかし招集されたローリィ達を強く説得させる言葉で任務を依頼する理由を語る。あんなに酷い口調に、強い言葉を使っていたハニエルもずっと黙っており、任務を受ける事に対しては誰も反論することはなかった。
皆、任務依頼書を読みながらシャルチフの動きに注意して話を聞いている。
「よろしい、では任務に対して質問はあるかな?」
「シャルチフかいちょー、私の任務は単独じゃー厳しいと思うんですけどー」
金の綺麗な髪色をした少女──ゲーブルとハニエルから言われていた少女はそのように質問する。
「あぁ、そうだろうな。君には自由にメイガス・ユニオン内の魔術師を選抜して連れて出して良いことにしよう。ここにいる君たちも、状況と場合によってはゲーブルからの支援要請があったら受けるように。良いかな?」
周囲は軽く頷き、問題ないと肯定をする。
「ありがとーございます」
と、適当のように感じる感謝を入れるゲーブル。
「えっと、俺の任務も質問あるんですけど──」
次のシャルチフに尋ねるのはラツィエルであった。
ローリィは特に自分の任務に対して疑問や質問はなく、ゆえにこの時間、渡された任務依頼書をただひたすら眺めていた。依頼書に書かれた、彼女が与えられたその任務とは──
傭兵として雇い、神代の遺物奪取に関わったアイギパーンの始末であった。
冒険者連合によって捕縛され、消息不明になっていたアイギパーンは神都崩壊時に脱出し、行方を眩ませていることが分かっている。彼は外部の人間でありながらも、メイガス・ユニオンの情報を一部とは言え、握っている重要人物でもある。
彼が冒険者や他の国、組織に情報を流さないとは限らない。ローリィはそのアイギパーンを見つけ出し、処理する事。それが任務依頼書に書かれえている内容であった。




