ダイモン 6
一週間ほど前に遡る。
そこはセレシア、メイガス・ユニオンの本部の一室。円卓にあるのは十の椅子。しかし、埋まっているのは六つだけ。そのうちの一つにローリィが座っていた。
「ったく、今回の招集は一体、何なんだァ?上層部はやっと本腰入れて冒険者ギルド連合と戦争する気になったのか」
円卓に足を乗せ、悪態つきながらもそのように言うのは一人の男。十六か、十七ぐらいの少年に見えるが、長命であるエルフだ。そのため、実際はもっと年齢は高く、六十年ほど生きている男であった。
「一度、アイツらには侵入されちまったしな、その時の恨みを晴らしてやる!それにあの剣聖ミトラ・アルファインとかいう奴とリベンジマッチしてやりたいからなァ!絶対、ぶち殺す!」
とても汚い言葉を使うことに、ローリィは嫌そうな表情で注意する。
「ここは会議の場。口調程度なら我慢しますが、『殺す』なんて言葉は使用しないでください。私の耳も腐ってしまうので」
「ハハッ、俺もそうだが、テメェの発言も大概だろ?」
と言い合いに発展しそうの中
「二人とも静かに。ローリィ殿の言いたい事も分かりますが、アナタ自身が言ったはずだ、ここは会議する場所であると。まだシャルチフ会長がまだ来ていない状況で、会議が始まる前ではありますが、会議する場というのであれば静かにしろ」
それはローリィの向かい側に座る相手。灰のような髪色をした、とても落ち着いた姿のエルフの男であった。
「ラツィエルの言う通りだよー、まったくー。そもそもハニエルが餓鬼すぎるんだよなー」
適当な返事でありながらも、灰色の髪をした男──ラツィエルという男に同意するのは綺麗な金の髪をした少女であった。
「ちッ、テメェもガキだろうが、ゲーブル!」
ハニエルと呼ばれたエルフの男は相変わらず怒気を纏った強い言葉を放ち続ける。再びローリィとラツィエルが注意しようとするが、それでもハニエルの悪態は止まらないだろう。ローリィは苛つき、我慢が爆発しそうになったその時であった。ガチャリ、と会議室のドア開いて中に入って来るのはメイガス・ユニオンの会長ことシャルチフであった。
「騒がしいぞ、お前たち」
ここにいるメンツは全員、シャルチフよりも強い。しかし、その彼の威厳のある姿、権力を持つのに相応しい堂々とした態度に皆はすぐに椅子から立ち上がり、敬礼をする。しかし、シャルチフは招集命令を受けて来てくれた六人に対して興味がないような反応を示しながら、奥にある上座の椅子へと座る。
「さっさと座り直せ、これ以上の挨拶は要らん。時間も無い、すぐに会議を始める」
「「「「「「はっ!」」」」」」
六人はシャルチフの言う通り、すぐに座り、聞く姿勢に入る。




