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刃の厄災 14

 刃の厄災は、立ち上がろうとするが、やはり予想以上の一撃だったのか。痛覚という生命として当たり前のような機能がついていない彼は、体に蓄積しているダメージは分からない。


 だが、脚に力が思うように入らないことだけは、事実であった。


 「くッ!!」


 何度も、立たせようと脚に力を入れる。そのたびに、鎧の割れた隙間から、真っ黒な恐ろしい魔力と生物を狂化させるオーラが溢れ出る。その姿は、彼が純粋な悪魔であることを思い出させる。


 それと同時に、体内で抑えていた力が意図せず体外へ出ているということで、彼が弱っているというのも示してくれているのであった。


 そこに、突如として背後に現れる何者かの気配。


 咄嗟に剣を持っている右腕を持ち上げ、後方を振り返りながら強く薙ぎ払う。脚が動かないが、腰をひねれば、ある程度後ろへは振り返ることが出来る。


 だが、その剣を飛び上がって避ける一つの影。


 厄災は当初、トーゼツが後ろへ回り込んでいると思っていた。しかし、それはトーゼツではなかった。


 「絶大剣術」


 その詠唱開始と共に、その影が持つ剣を中心に炎が発生。その炎は、紐のように細くなると、まるで、蛇のようにシュルシュルと動き出し、剣にまとわりつく。


 「〈螺旋炎突らせんえんとつ〉!」


 その突きが当たったと同時に、炎が剣先を中心に円を描きながら刃の厄災へと襲い掛かる。その一撃はかなり重い一撃であった。しかし―


 「効かぬわァ!!」


 魔力を体内から体外へと一気に放出することで風を生み出し、自分に絡みつく炎をいとも簡単にかき消して見せる刃の厄災であった。


 そこからさらに、放出した魔力を右腕と右手に集中させ、攻撃してきた影の首を鷲掴みする。


 「ぐッ、ァ!」


 首を絞められ、呼吸が難しくなって苦しい声を上げているのは、ミトラであった。


 「良い一撃だ。だが、この程度の炎では我の鎧は溶けもせんわ!」


 どんどん力を強め、さらに苦しめさせていく。その時


 「俺もいることを忘れんなよ!」


 横から槍で厄災を薙ぎ払ってきたのはトーゼツであった。


 ぐらり、とまたもや態勢を崩される厄災。


 トーゼツは素早く指輪に魔力を送り、空間に発生した穴から武器を槍から双剣へと変える。そこにかかった時間は、なんと一秒にも満たない。


 ザンッ!ザンッ!ザンッ!と素早く体を回転させながら、鎧に確実に斬り込みを入れ、双剣に付与された灼熱と凍結の魔術でダメージを蓄積させていく。


 さらには、厄災の手が首から離れ、自由の身になったミトラもまたやられた分を返すかのように、素早く剣に魔力を込め、剣術の詠唱を始める。


 「上級剣術〈瞬時断絶しゅんじだんぜつ〉!」


 ズバババババッ!とゼロ秒に近い速さで斬っていく。さらには一度の詠唱で剣術連続発動させることで、何度も、何度も繰り返し刃を返し、鎧を切断していく。

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