外界の者 15
二人はこの三人が何者なのか、知っているようであったが、何も知らないミトラは「アナタ達って何者なの?」と説明を求め始める。
「あぁ、そこからか。何も説明をしていなかったのか?」
ネイコスはトーゼツとアナーヒターの方へと視線を移す。
「俺はアンタらの事、なんとなくしか理解してないからなぁ……」
「私も何処から何処まで説明すれば良いか分からん」
「はぁ……しょうがない。面倒だが、軽く説明するとしようか」
そうしてネイコスは自分たちが何者なのかの説明を行い始める。
並行世界、異世界、別次元……この世界には多くの世界が存在している。そしてそれらは時間と空間、次元によって区分けされており、簡単に世界から世界へと移動することは容易ではない。そしてこれら世界には大なり小なり意思があり、我々のように魂を持っており、位が存在している。
ここまで聞いてあまり想像出来ない、よく分からないと思うかもしれないが例えてみると意外と分かりやすい話だ。我々、人はそれぞれ記憶、経験、想像力によって自分だけの世界を持っている。そんな我々はそれぞれ自分だけの魂を持っている。そして、人には知力や運動能力に差があり、社会的地位というのが存在している。人同士は仲良くできても、絶対に分かりあうことはない。似た世界を持っていても、本質は異なっており、一緒になることはない。
これと世界も同じである。こうして考えれば、まだ少し理解しやすいだろう。
そして時折、別の世界や、世界の外から飛来してくる者たちがいる。彼らは別の世界によって生まれた存在であるため、この世界の常識、法則が通用しない。そういう特別で異例、招かれざる者たちのことを外界の者と呼ばれている。
「んで、俺たちはその外界の者の集まりなのさ」
「そ……そうなん…です、ね?」
ミトラはこれまで知らなかった──というより考えたこともなかった世界の在り方が一気に脳に入って来たことにより、その予想以上の情報量で今にも頭がパンクしそうであった。
アナーヒターはギリギリ分かってそうで、分からないような感じであり、トーゼツに関しては思考を放棄していた。
(この世界は肉体のある物理世界、魂のある概念世界、そしてそれらを超越し、全ての生命の起源であり、到達できない世界である精神世界の三つで構成されているはずなんだけど……)
自分の持っている知識によってネイコスの話を理解しようとするのだが、アナーヒターも結局、どういうことなのか理解できなかった。
「……やっぱいつ聞いてもよく分かんね。世界に上下の位が存在してるとか、どういうことだよ?」
「それは分かりやすく説明するために使っている言葉なだけで、実際には違うんだよ。まっ、そこら辺の説明をしていると一日経っちゃうし、そもそもトーゼツは理解するつもりもないだろ?まっ、今日はその話をするために来たわけじゃないんだし、話を進めよう。それで良いかね、剣聖ミトラ」
「え、ええ。問題ないわ」
ミトラも理解できない事だと分かり、トーゼツのように完全に思考を放棄する。




