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外界の者 11

 次の日、冒険者ギルド連合と列強諸国との会議が行われているその時、トーゼツ、アナーヒター、ミトラの三人は大陸の中央にある国、スールヤットに出向いていた。


 スールヤットは規模で見れば小さい国家だ。人口も領土も大きくはない。しかし、周辺諸国の中では最も長い歴史を持ち、また小国であろうと大国であろうと軍事侵攻を何度も跳ね除けているという実績を持つ国でもある。


 そう聞けば、スールヤットは強い軍隊を持っていると感じるだろう。もちろん、スールヤットの軍隊は結束力があり、強さは大国に匹敵するとされている。が、軍事侵攻を跳ね除けることに成功しているのはスールヤットが山岳地帯にあるからである。もちろん、国全体が山岳ではない。一部は高原があり、そこに都市を築いて、首都を作り、そこで多くの人は生活している。


 とにかく、スールヤットはこの山岳という天然の防壁によって敵の侵攻を遅らせ、また地理的有利を取って来たことでどんな相手にも勝ってきた。そしてこの過酷な場所にも魔物も存在しており、巨大なツノを持つヤギであったり、危険な毒を持つ大蛇、地域によってはドラゴンもいるとされている。


 このように決して安全な場所ではない。だからこそ、住む人たちは自分の身を守れるくらいには強ういのだ。またこのような過酷な環境で、他の地域では見ることが出来ない独特な景色。それはそれで美しい環境であるということだ。そのような国にトーゼツ達が赴いているのは決して観光ではない。


 アナトがベスに伝え残していた任務が理由である。


 「しかし、この国にアナトレベルの強者がいるって話だけど本当なの?」


 そのようにミトラはつぶやく。


 ベスから聞いた話では、『冒険者ギルドに所属していないうえ、この世界においても不安定な存在。詳細に説明は受けていないから相手が誰かは分からない。だが、調和神アフラの身に何かが起こった時、必ず我々の味方となってくれる者たちがいる』との事であった。


 「……あぁ、本当だよ」


 そのように前を歩くトーゼツは反応する。ミトラからはトーゼツの表情が分からないが、彼はとても複雑というか、微妙というか……あまり良い顔はしていなかった。どうやらトーゼツは相手が一体何者なのか、知っているようであった。


 「うん、分かるよ。トーゼツ」


 そのように同意するアナーヒターも相手のことを知っているようで、トーゼツと似た表情をしている。


 「……そんなに嫌な相手なの?」


 「一癖も二癖もあるからな。圧倒されるぞ。それこそポットバックレベルだ」


 「うげぇ、まじ?」


 「まじまじ」


 「トーゼツの言う通り、まじよ」


 そのように二人から言われて、少しばかり身構えてしまうミトラ。あの毎日誰か死ぬ特異課の中で、もっとも狂っていると言っても良いポットバックが比較対象に出来るほどの相手。


 一体、どんな人物たちなのだろうか?より分からなくなってくる。

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