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外界の者 8

 テンギョクは仙国という東方諸国の中でも最も影響力のある列強の国の王。しかも東方諸国のみならず、世界規模でも見ても、人口、経済、領土……その全てにおいて仙国は世界最大である。東方の人口、領土の半分以上は仙国のモノである。この事実だけでどれほどの超大国であるかが分かるだろう。その巨大な国家の治世に忙しい彼がそもそも今回の招集に顔を出した事が驚きである。


 それを説明したうえでテンギョクの性格をさらに説明をすると、自国の発展、利益に繋がるのならどんな犠牲も、他国がどうなろうとどうでも良いという独裁政治を行う者である。テンギョクが冒険者ギルド東方支部長を務めているのも、彼自身が何かしらの企みがあるからこそであった。


 調和神アフラもテンギョクをかなり警戒していたが……神々の計画としても、世界中で活動している厄災に対抗するためにも冒険者ギルドを東方諸国にも配置しておきたいという考えがあり、故に一国の王であるテンギョクが支部長になるという異例を認めたのであった。


 ちなみにテイワズも同様に神であり、王であり、南方支部長を務めているが、これに関しては調和神アフラが逆に頭を下げて頼んだ事である。一体、どのような意向でそうしたのかはテイワズのみしか知らないことであった。


 「次は話を進めるとしよう。それでは今後、冒険者ギルドはどのように動くべきなのかな?」


 テンギョクのその言葉に全員が黙り、考え始める。


 冒険者ギルド連合は後手に回りすぎたうえに、大ダメージを受けすぎた。ここから立ち直り、反撃するためには戦力の増強に、情報収集が重要だ。敵は分かっている、やるべき事も多い。だが、時間はそんなにかけられない。こうしている間に敵も動き続けているのだから。


  一分ほど沈黙が流れて……最初に口を開いたのは、メンバーの中で最も場違いのような人物であるまさかのニルであった。


 「とりあえず……優先的にやらないといけない事を考えようぜ?と言っても同時に出来ることは限られてくるからとりあえず三つにまとめましょ?」


 そのような発言から、アナトがすぐさま答える。


 「だったらやるべきことは一つ、情報収集。二つ、戦力増強。三つ、敵の計画阻止だな」


 そのアナトの言葉を否定する者はいなかった。


 「まぁ、戦力増強は明日の列強諸国の会議で上手くいけばなんとかなるだろうけど……」


 というのはラフノ・マースであった。


 列強諸国もメイガス・ユニオンの勢力拡大と厄災の力を使い、狂気を世界に振り撒いている黒いローブの集団を良いように思ってはいないはず。そこを利用し、冒険者ギルド連合と列強諸国の敵は同じだという結論まで持っていければ、きっと味方してくれるだろう。


 しかし──


 「黒いローブの集団に関する情報操作、それを行ったことについてどうやって列強諸国の代表の方々を納得させ、もしくは誤魔化すのかというのが一番の問題点だな」


 今回の会議で最も大きな問題点を言うテイワズであった。

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