外界の者 7
このように話し合いが行われている中、会議室のドアがガチャリ、と開く。
そこに入ってくるのは二人。
一人は長身の男で二メートル近くはあるだろうか。その格好は漢服のようで龍の雅な刺繍がされているが、同時に動きやすく、拳法家のような服装でもあった。そして彼から感じるその気配はまさに王と呼ぶのにふさわしいものであった。
そして彼は名乗る。
「遅れて申し訳ない。冒険者ギルド東方支部長兼仙国の王を務める天玉仙帝である。この場ではテンギョクと読んでくれて構わない」
もう一人の方はまた違った雰囲気であった。それはシルクハットを被った、スーツを着てた女。しかし不思議な色合いのスーツであった。まさにピエロや道化師、またはマジシャンと言った者たちに似合うスーツだが、そんな派手でおかしな服なのにおしゃれに着こなしている。
彼女もまた一緒に来たテンギョクと共に名乗り始める。
「私も遅れてごめん〜、魔術師連合所属、特殊術師のニルだよ。よろしくね〜〜!」
「テンギョクはともかく、ニルも呼んでいたのか?」
想像していなかった相手が来た事にテイワズは、ニルを呼んだであろうアナトの方を見る。
「ニルは私よりも強いし、明確な味方だ。調和神アフラがいなくなった今、ニルは私たちの重要な主戦力。彼女抜きにこの会議は進められないですよ」
ラフノ・マースは冒険者ギルドの人間ではあるが、彼はずっとギルドスタッフとして働いただけであり、実践の経験がないため、ニルはそれほどの実力者なのか!?と驚くのだが、テンギョクとテイワズはそうは思っていない……というより、納得のいっていない表情であった。
二人はニルの正体を知っているからこそ、納得がいっていないのだが──
「うわぁ〜〜、アナトにそう言われると、めちゃ嬉しいぜぇぇ!!!」
そんなテンギョクとテイワズの考えていることが吹っ飛ぶほどに高いテンションのニル。この場の雰囲気とは絶対に合っていないテンションと口調だ。が、いつもがこの通りであるのを知っている四人は何も突っ込むことはなかった。多少は真面目な空気を読んで、他者に合わせるような生き方をしてほしいと心の中だけで思うのであった。
「ま…まぁ……話を続けるとしようか。とりあえず、今、話し合いは何処までいっているのかな?」
途中参加であるテンギョクがそのように尋ねる。そこにテイワズが「今はアナトから神都崩壊の件を質問を交えて詳細を聞いていたところだ」と一言で説明する。
「そうか……私も詳細を知りたいが、それは遅れて来た私たちが悪いうえ、私は明日の会議に出席するつもりはない。聞いたところでだな」
明日の列強諸国との会議が重要なモノなのはテンギョクも分かっているはず。ゆえにテンギョクの発言にラフノ・マースは驚くのだが、アナトとテイワズはそれを予測出来ていたようで何も反応はなかった。ニルは……まぁ、興味が無さそうであった。




