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外界の者 6

 

 長い説明を終えたアナトは続けて二人に問う。


 「──ということです。ここまでは報告書にも記載されていますので把握しているとは思いますが、改めて何か質問などは?」


 「結局、メイガス・ユニオンと黒いローブの関係は?」


 そのように尋ねるのは北方地方のギル支部長ことラフノ・マースであった。


 「それについてはまだ何も……。しかし、メイガス・ユニオン内の組織ではないのは確かですかね」


 これまで可能性の一つとして、メイガス・ユニオンが厄災について研究していて、そこから派生もしくはメイガス・ユニオン内部で作られた組織が黒いローブの集団という考えも出来た。が──


 「今回はメイガス・ユニオンの戦闘部隊も壊滅しているし、現在は敵対関係になったと見て良いかと。そうすれば黒いローブの集団はメイガス・ユニオンと一時的な同盟を結んでいただけと推測できます」


 とアナトは自分の考えを提示する。


 冒険者ギルド連合も大きなダメージを負ったが敵対関係であったメイガス・ユニオンも大きく動けなくなったのは不幸中の幸いであった。今回の件で黒いローブの集団とも敵対したとなればメイガス・ユニオンの方でも情報錯綜し、混乱していることだろう。


 しかも、制圧し、支配しようとしていた神都が今ではサルワのモノになっているのだ。計画が狂った所ではない。送った部隊も帰ってこない。現場である神都が現在どのようになっているのか分からない。だからこそ迂闊に動くことができない状態。


 それに対し、我々冒険者側はまだ事態を把握している。だが、このまま負けっぱなしというわけにもいかない。ここからは反撃のターンだ。


 「しかし、メイガス・ユニオン内の組織では無かったとなると、黒いローブの集団は一体何なのだ?今はサルワをリーダーに据えているみたいだが、組織事態はサルワが出てくる以前からあった。そもそもの目的は何なのだ?」


 テイワズが続けてアナトに向けて質問する。が、アナトは微妙な表情を見せながら首を横に振る。


 「それに関しては何も……。そもそも黒いローブの一人であるアルウェスの正体が謎すぎる。上手く生きて捕縛したかったところだったんだけど──」


 彼は死の厄災の力を取り込んでいた。しかし、死の厄災が討伐されたのは神話の時代、つまり万年以上の話だ。一体、何処から死の厄災の核を入手してきたのだろうか?いいや、そもそも、どうしてアルウェスは厄災の力を取り込む事になったのだろうか?


 冒険者ギルド連合でも厄災の研究は行われており、調和神アフラは厄災の核の存在を知っていた。だが、世間一般では厄災の力を取り込むことが出来るなんていうのは公表されていない。それ誰しもが力を取り込めることが出来るわけではない。一部の、厄災の力、狂気に耐え切れる特殊な人間のみだ。


 (もしかして、黒いローブの集団の背後には別の組織が……)


 などとアナトは考えてしまうが、ここまで来ると妄想の領域になってしまう。もちろん、可能性は充分にあるのだが、何せ情報が少なすぎる。それに黒いローブの集団がいつから活動している組織なのかが分かっていない。これもまた彼らの正体が掴みきれない要因の一つだ。


 「やはり、もうしばらくは情報収集か」


 そのようにテイワズが言う。

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