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外界の者 5

 三人の中で最初に口を開き、話始めるのはこの国の王であり、神の力を持つ男。そして南方のギルド支部長を務めているテイワズであった。

 

 「ったく、まさかこんな事態になるとはな。驚きだよ。貴様ほどの強者がいながら壊滅した神都。一体何があったか、説明しろ、アナト」


 既に報告書をそれぞれの関係者、支部長に渡しているため、この場にいる全員は何が神都で起こったのかは理解している。が、やはり現場にいた者に直接聞いた方がより具体的で、詳細に理解することが出来るだろう。そういう考えでの説明要求であった。


 その事をアナトも察知しているようで、すぐさま説明をしようとする。また相手の方が立場や権力が上のため珍しく丁寧な口調で話し始める。


 「では、情報の整理や、情報に誤りがないか。すり合わせのために説明を行います。今回の神都崩壊の始まり……その前に事前知識として厄災の力を取り込み、操る者たち──黒いローブの集団については把握していますか?」


 その言葉に反応する者はいない。


 「把握しているようなので、話を続けていこうと思います」


 そうしてアナトは長い説明を行なっていく。

 あれは一ヶ月前……メイガス・ユニオンが神都に侵入し、神具保管庫から神代の遺物(アーティファクト)を盗まれた時まで遡る。


 侵入した者を捕縛し、彼らから黒いローブの集団とメイガス・ユニオンが繋がっているという情報を入手。そこでギルド連合本部は一週間前──メイガス・ユニオンの本部に今回の件を探るために使者を送ると同時に、裏から黒いローブの集団に関する資料、書類、証拠を掴む情報収集のために侵入した。


 しかし、使者としてアナトが神都からいなくなったタイミングで黒いローブの集団が攻撃を開始。さらに盗まれた神代の遺物(アーティファクト)によってスールヴァニアから少し離れたサウリヒムという小国で活動していた憤怒の厄災を神都へと強制転移。それにより多くの市民、冒険者が死亡。都市にも莫大な被害が出てしまった。


 その後、黒いローブの者の一人、アルウェスによって調和神アフラが消滅。しかし最後にアフラが命をかけて展開した結界によって狂気によって魔物化した人間や、厄災関連の者たちが神都へ出ることが不可能になった。これで化け物たちが都市外へ流入してしまう危険がなくなった。


 このタイミングからアナト、アナーヒター、ミトラ、エルドの四人が帰還。情報錯綜し、困惑して動けなかった冒険者たちを動かし、生き残った一般市民の避難のための大移動を決定。アナーヒターを先導に都市外への移動を開始。


 そこからさらに調和神アフラの消滅直後、彼女によって封印されていたアムシャが開放。そこからアムシャ、アナト、支配の厄災ことサルワの三つ巴の戦いによって都市の半分以上が半壊してしまっている。

 

 この時点でかなりヤバい状況なのだが、そこからさらにメイガス・ユニオンの戦闘部隊が侵攻開始。これにより冒険者による一般市民の避難が上手くいかず、市民のほとんどがこの時点で死亡。しかし彼らもまたサルワの狂気によって部隊のほとんどは魔物化。チームは壊滅状態になった。


 そして最後にサルワが神都を支配の宣言。これにより神々が造り、万年近く平和であった神都は完全に崩壊。現在では人が近づくことも不可能な狂気侵蝕都市として封鎖されている。

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